<東京オリンピック(五輪):柔道>◇29日◇女子78キロ級◇日本武道館

外国勢には濱田尚里選手の寝技が、あり地獄のように見えたのではないでしょうか。自ら倒しても、技を掛けられてつぶされても、寝技に入る速さがピカイチ。4試合とも寝技で仕留めましたが、自ら倒してから一本を奪ったのは2試合。半分は相手の技からでした。自信がある得意な形があるのは強みだと再確認しました。

腕を捕獲したり、うつぶせ状態から帯を持って引き込んだ瞬間、もう濱田選手の形だなという安定感がありましたね。重量級らしく、外国勢と力勝負する試合も何度か見てきましたが、パワー対決している分だけ危ない場面もあったと思います。今回は決して無理する姿がなかったです。寝技に引き込む徹底ぶりが伝わってきました。

選手には、それぞれ得意技があり、対戦する選手には必ず対策されるもの。しかし濱田選手の寝技だけは分かっていても対策し切れない。対戦相手にしてみたら無限のパターンがあるように感じたと想像します。どの形になっても最終的に得意パターンに持っていく寝技を持つまれな選手。これまで磨きあげてきたもの、練習量のたまもので金メダルを引き寄せたと感じます。(08年北京、16年リオデジャネイロ五輪銅メダリスト)