東京五輪のメインプレスセンター（ＭＰＣ＝東京都江東区）では連日、国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）と東京五輪・パラリンピック組織委員会による共同記者会見が行われている。いつもは厳しい質問が相次ぎピリピリとした空気にもなるが、２９日の会見は少し違った。
「今日はスケートボードで金メダルの堀米雄斗選手がいらしています。彼はここの区の出身です。おめでとうございます」
ＩＯＣのアダムス広報部長が同じ壇上に座る堀米選手を紹介すると、会場から自然と拍手が湧いた。
新型コロナウイルスで五輪開催への賛否が分かれる中、海外メディアから拍手で迎えられた堀米選手の姿に誇らしさを感じた。
「皆さんがサポートしてくれたことに感謝します」
五輪での経験などを語ってほしいと求められた堀米選手はまず、コロナ禍でも五輪を支えてくれた人々に感謝の言葉を述べた。
スケートボードは今回の五輪で初めて競技に採用された。コロナ禍でも大会開催が実現されたことで、「スケートボードに新しい歴史が刻まれたと思う」とその意義を語った。口調は穏やかで、回答の仕方によっては批判を招く可能性がある質問に対しても真摯（しんし）に答えようとする姿が印象的だった。
外国メディアから、五輪前に開催への反対が日本にあったことなどを聞かれると堀米選手はこう答えた。
「反対のニュースも聞いていた。緊張していたが五輪が開催され、自分が夢の舞台で金メダルをとれて日本の人たちも全員ではないと思うが感動を与えられたと思っている」
会見に同席していたＩＯＣのコベントリー選手委員長は会見中、こうした堀米選手の言葉に何度もうなずいていた。
