[ニューヨーク 29日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルが約1カ月ぶりの安値に沈んだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が引き続き材料視されたほか、朝方発表された第2・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値が市場予想を下回ったことが重しとなった。
終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.383%安の91.905と、6月29日以来の安値を付けた。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は28日、FOMC後の会見で、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)に伴う経済への影響を抑制するためにFRBが2020年春に導入した経済支援策を撤回する時期を迎えるには、米労働市場にはまだ「いくつかの着手すべき課題がある」と指摘。月額1200億ドルの債券購入プログラムを縮小する前に向こう数カ月間にわたり「力強い雇用統計を確認したい」と述べた。
OANDAのシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏は「FRBのテーパリング(量的緩和の縮小)開始は依然先のもようで、ドルの対ユーロでの上昇は終息したようだ」と指摘した。また、FOMCの結果を受けて米10年債利回りが低下したことに言及し、「米イールドカーブの緩やかなスティープ化が続けば、ドルに対する弱気な姿勢が今後数週間で強まる可能性がある」と述べた。
第2・四半期の米GDP速報値は、年率換算で前期比6.5%増加し、規模としては新型コロナウイルス禍前の19年第4・四半期を上回った。個人消費や企業の設備投資が堅調で、成長を後押しする一方、サプライチェーン(供給網)の制約に伴う在庫の大幅な切り崩しが重しとなり、市場予想の8.5%増には届かなかった。
モネックス・ヨーロッパのシニア外為市場アナリスト、サイモン・ハービー氏は「リスク環境が安定化し、パウエル議長のハト派的なレトリックが消化される中、予想を下回るGDP速報値はドルにとって朗報ではなかった」と述べた。
ポンドは対ドルで1カ月ぶり高値。新型コロナ感染者数の減少がポンドへの追い風となった。
豪ドル/米ドルは0.33%高、ニュージーランドドル/米ドルも0.7%高。中国当局が市場の懸念払拭に動いたことが材料視された。関係筋によると、中国証券監督管理委員会(CSRC)は28日夜、最近の規制面の措置について「拡大解釈」すべきでないと外資投資銀行幹部に伝えた。
ドル/円 NY終値 109.46/109.49
始値 109.85
高値 109.90
安値 109.43
ユーロ/ドル NY終値 1.1886/1.1890
始値 1.1873
高値 1.1892
安値 1.1871