政府は、緊急事態宣言の対象地域に埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県を追加するほか、北海道、石川、兵庫、京都、福岡の5道府県に、まん延防止等重点措置の適用を決めました。
菅首相の記者会見の詳細を随時更新でお伝えします。
4府県に「宣言」 5道府県に「まん延防止」を決定
菅総理大臣は記者会見で「先ほど、新型コロナ対策本部を開催し、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府に緊急事態宣言を発出するとともに、北海道、石川県、京都府、兵庫県、福岡県に、まん延防止等重点措置を実施し、期間はそれぞれ8月2日から8月31日までとすること、東京都と沖縄県の緊急事態宣言を8月31日まで延長することを決定した」と述べました。
「経験したことがないスピードで感染が拡大」
菅総理大臣は「全国の新規感染者数は増加を続けている。首都圏や関西圏をはじめ、多くの地域で増加傾向が続き、これまでに経験したことのないスピードで感染が拡大している」と述べました。
そのうえで「大きな要因として指摘されるのが、変異株の中でも、世界的に猛威を振るっている『デルタ株』だ。全国的に『デルタ株』への置き換わりが急速に進むにつれ、さらに感染の拡大が進むことが懸念される」と述べました。
「自粛疲れの広がりが懸念」
「ワクチン接種を進めながら、各地域でしっかりした対策を講じ、病床のひっ迫を招かないように、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の地域を拡大し、期限を延長する判断をした」と述べました。
そのうえで「自粛期間が長期化するなかで、自粛疲れの広がりが懸念されている。特に若い世代からは『コロナは怖い病気ではない』という声も聞かれる。感染対策よりも、通常の生活や楽しみを優先させたい気持ちもあると思う。大変に心苦しい思いで、ワクチン接種がさらなる効果を発揮するまでの今しばらくの間、一人ひとりが、高い警戒感を持って感染予防を徹底し、慎重な行動をとるようお願いする」と述べました。
「協力金 速やかに支給」
「飲食店に対しては、長きにわたり、ご迷惑をおかけしてきている。協力金を簡素な審査で速やかに支給するなど、要請に協力していただける環境の整備に努めていく。同時に、今後、各都道府県において、飲食店の見回りを拡大し、対策の実効性を高めていく」と述べました。
「不要不急の外出や移動の自粛をお願いする」
「夏休みが続き、お盆の時期を迎えるが、不要不急の外出や移動の自粛をお願いする。外出が必要な場合にも、極力、家族やふだんの仲間と少人数で行うことや、帰省など避けられない都道府県の移動であっても、感染防止策を徹底し、必ず検査を受けるなど、極力慎重に対応していただきたい」と述べました。
また「路上での飲み会、ふだん会わない人との会食、大人数や長時間での飲食は、控えるようお願いする。オリンピックが始まっても、交通規制やテレワークなど、皆さんのご協力によって、東京の歓楽街の人流は減少傾向にある。さらに人流を減らすことができるよう、今後も自宅でテレビなどを通じて、声援を送っていただくようお願いする」と述べました。
「今回の宣言が最後となるような覚悟で」
「緊急事態宣言の出口については、ワクチンの接種状況とあわせて、重症者や病床の利用率など医療提供体制の負荷に着目した具体的な分析を進め、適切に判断していく。そのうえで、社会経済活動の制限緩和に向けた道筋を示していく。8月末までの間、今回の宣言が最後となるような覚悟で、政府をあげて全力で対策を講じていく。国民のご理解とご協力を心からお願いを申し上げる」と述べました。
「ワクチンの効果顕著も若い世代での感染急拡大」
「東京における65歳以上の新規感染者数は、感染が急拡大する中にあっても、割合が今では2%台に低下している。ワクチン接種の効果が顕著に表れているが、それでもなお、強く憂慮すべきことがある。若い世代での感染が急拡大していること、そして40代、50代の重症者が増加傾向になっている。このまま、感染者の増加が止まらなければ、重症者数もさらに増加し、病床がひっ迫するおそれがある」と述べました。
「治療薬を供給し重症化を抑えていく」
「治療薬についても大きな進展がある。これまで軽症者や中等症者には、効果的な治療薬がなかったが、こうした方の重症化リスクを7割減らす画期的な治療薬が、今月19日に承認された」と述べました。
そのうえで「すでに治療を希望する全国の2000を超える医療機関が登録されており、要請に応じて順次配送していく。政府として、この治療薬の十分な量を確保しており、50代以上の患者に加え、基礎疾患のある方に積極的に供給し、重症化を抑えていく」と述べました。
「若い世代へのワクチン接種に注力」
「病院におけるクラスターの発生を防ぎ、高齢者への接種にめどがついた今、今後は、重症化リスクが次に高い、40代、50代の方々、そして感染が大きく広がっている若い世代へのワクチン接種に注力する。全国の自治体には、先々の配分量を速やかに示し、計画的な接種を進められるように努めていく」と述べました。
そして「8月下旬には、2回の接種を終えた方の割合がすべての国民の4割を超えるよう取り組み、新たな日常を取り戻すよう全力を尽くしていく。さらに、ワクチンに関する正しい情報の発信に努め、若い世代の方々にも、みずからの健康を守るため、そして大切な家族や友人を守るため、ぜひとも接種にご協力いただくようお願いする」と述べました。
「五輪が感染拡大の原因になっていないと思う」
東京オリンピック・パラリンピックについて「開催するにあたり、日本に18万人くらいの選手や関係者が来る予定だったが、IOC=国際オリンピック委員会に、3分の1にするようお願いした。また、羽田空港や成田空港の入国時に日本国民と接触することはないよう、しっかり対応しているので、今、それが感染拡大の原因にはなっていないと思う」と述べました。
「この波を早く収めるのが今の私のいちばんの責任」
感染が再拡大した責任を問われたのに対し「今、発生しているこの波を、できるだけ早くおさめる。そのことが、いちばんの私の今の責任だ」と述べました。
また「国民の命と健康を守るのは政府の役割で、そのために、必要な方に必要な医療を提供するのが基本だ。ことし初めに感染拡大した時の反省に立って各都道府県においては、大幅な病床確保や病床間の連携を行っている」と述べました。
「開催決定から東京集中の人流防ぐ対策考えやっている」
「東京大会の開催が決定してから、東京に集中する人流を防ぐための対策を考えてやってきている。車の乗り入れの3割減や、テレワークの推進を東京都と連携して対応してきている。首都圏の人流を少なくする対策を練っていたので、そういうものに基づいて行っているということだ」と述べました。
「衆院解散 任期も踏まえ全体として検討」
衆議院の解散・総選挙の時期について「新型コロナウイルスの感染拡大を阻止していくことが、今の内閣にとっての最優先の課題で、そのことに変わりはない。ワクチン接種を含めて、徹底して対策を行っていく。とはいえ、任期もあり、そうしたことを踏まえながら、全体として検討していきたい」と述べました。
「『ロックダウン』という手法はなじまない」
記者団から「ロックダウン」=都市封鎖を可能にする法整備の必要性を検討する考えがあるかと問われたのに対し「結果的に、やはりワクチンだったと思う。日本において『ロックダウン』という手法はなじまない」と述べました。
そのうえで「飲食に重点をおいた対策を日本はやってきたが、今、ワクチンが明確に効くという結果が日本でも出ているので、1日も早く、1人でも多くの方に接種できるような体制をしっかり組んでいきたい。ここがいちばん大事だと思っている」と述べました。
「30代以下の若者へのメッセージ 極めて大事」
「国民の皆さんに、現状を踏まえた中で、それぞれの立場で危機感を持っていただくことが、ものすごく大事だ。特に30代以下の若者へのメッセージは極めて大事だ。いわゆるSNSなど、特に若い人向けに、しっかり力を入れてやる必要がある」と述べました。
「ワクチン副反応 安全性に影響与える重大懸念でない」
ワクチン接種の副反応について「定期的に専門家に評価してもらい、発熱や接種部位の痛み、全身のけん怠感、頭痛などがあるが、いずれもワクチンの安全性に影響を与えるような重大な懸念ではないと示されている。ワクチンの効果は明らかになっているので、多くの人に接種してもらえるよう、国民に科学的な知見に基づいて情報を公開し、接種できる環境をつくることが大事だ」と述べました。
「感染対策 自分の責任のもとでできると思う」
記者団が「もし感染の波を止められずに医療が崩壊し、救うべき命が救えなくなったときに、総理大臣を辞職する覚悟はあるか」と問われ「感染対策を自分の責任のもとに、しっかり対応することが私の責任で、私はできると思う」と述べました。
「重症化リスク高い高齢者への接種目標達成」
7月末までに希望する65歳以上の高齢者へのワクチン接種を終えるとする目標について「重症化リスクの高い高齢者については、7月いっぱいで目標を達成することができたと思う」と述べました。
「台湾との関係 基本方針に変わりはない」
台湾をめぐって「わが国としては、当事者間の直接の対話によって平和裏に解決してほしいというのが基本的な立場であり、一貫している。わが国と台湾の関係については非政府間の実務関係として維持していくという基本方針に変わりはない。わが国の国益を守り、ASEANなどの同志国と連携しながら対応していくことも大事なことだ」と述べました。
原爆の日の式典「日程が許すかぎり参加したい」
8月に広島と長崎で開催される、原爆の日の式典について、「東京は緊急事態宣言下だが、式典への案内をいただいており、日程が許すかぎり参加したい。最小限の人数で行きたい」と述べました。
“黒い雨” 裁判 上告せずは「熟慮に熟慮を重ねた結果」
また、広島への原爆投下直後にいわゆる「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたと住民などが訴えた裁判で、上告しなかったことについて、「官房長官の時にも相談を受け、そうした思いもある中で、熟慮に熟慮を重ねた結果だ。高齢で病気の方もいるので、原告の84人にできるだけ早く被爆者健康手帳を交付し、原告と同じような事情の方に国と県と市で誠意をもって救済を検討するよう指示した」と述べました。