【ニューヨーク=寺口亮一、北京=田川理恵】東京五輪の閉幕に際し、米国向け放映権を独占した米NBCのスポーツキャスター、マイク・ティリコ氏は、AP通信に対し「(新型コロナウイルス下で)大会が開催され、予定したイベントが全て行われたことは注目すべき偉業だ」と語った。
[スキャナー]コロナ対策機能 競技に影響回避…五輪閉幕
ドイツの有力紙フランクフルター・アルゲマイネ(電子版)は、大会が中止されていれば多くの選手が五輪出場の機会を失い「災難となっていた」として開催の意義を強調。大会前は反対意見が多かったことに触れ、「(今大会が)選手にとってどれほどの助けとなったかについて、日本人が誇らしく思えるようになるまでに数年を要するかもしれない」とも指摘した。
オーストラリア紙シドニー・モーニング・ヘラルド(電子版)は、選手らが国の垣根を越えてお互いを助け、声援を送り合っていたと紹介し、「メダルの数を超えた成果だ」と論じた。ブラジルのフォーリャ・デ・サンパウロ紙(電子版)も東京大会を「スポーツの力を祝福した」と評価した。
大会がほぼ無観客で開催されたことについては、各メディアで受け止めが分かれた。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「大会が社会から切り離され、窮屈で閉所恐怖症を引き起こしそうだった」と報じた。韓国の聯合ニュースは、大きな混乱がなかったとして「運営面では合格点に十分だった」と一定の評価をした一方、無観客開催によって「外国メディアから『葬式のようだ』との評が出るほど、感動を探すのが難しかった」と批判的に伝えた。
半年後に北京冬季五輪を控える中国の国営新華社通信は、五輪関係者の感染が「比較的低い水準に抑えられている」と分析。観客を入れていれば、インド由来の変異ウイルス「デルタ株」の流行で「防疫対策は全く制御できなくなっていた」として、無観客開催は「功績」だったと評価した。
2024年にパリ五輪を開催するフランスの主要紙ル・モンドは、大会期間中に拡大した新型コロナ感染に「政府の対応が追いついていない」と厳しい目を向けた。「東京五輪で明らかになったのは政府と国民の溝だろう」とも指摘した。