[ワシントン/キエフ/ロンドン 9日 ロイター] – 米・英・カナダは9日、ベラルーシのルカシェンコ政権に対する追加制裁を発表した。ホワイトハウスによると、米国による対ベラルーシ制裁としては過去最大規模となる。

ベラルーシの大統領選で不正があったとして、大規模な抗議デモが全土に広がってから1年を迎えた9日、米国はベラルーシの経済やオリンピック(五輪)委員会を標的に同国の個人や団体への制裁措置を発表した。

米財務省によると、肥料の原料である炭酸カリウム生産で世界最大級の有力国有企業をブラックリストに追加。ベラルーシオリンピック委員会は、マネーロンダリング(資金洗浄)や制裁回避などを助長した疑いから制裁の対象となった。

英国も、ベラルーシの炭酸カリウムや石油製品の貿易を制限するなど、制裁を強化。同国の国債や国有銀行が発行する証券などの売買や、ベラルーシ機の英領通過や英着陸も禁止する。

ラーブ外相は「英国はこれら制裁によって、不正選挙後のルカシェンコ氏の行動を容認しない姿勢を明示する」と述べた。

カナダも米英に連携し、ルカシェンコ政権下の「重大かつ組織的な人権侵害」に抗議し、新たな制裁を発動した。

ベラルーシのルカシェンコ大統領は9日の会見で、自身が独裁者との批判を否定し、クーデターを企てる反対派からベラルーシを守ったと主張した。

さらに、同国の東京五輪代表クリスツィナ・ツィマノウスカヤ選手のポーランド亡命について、外部の力に「操られた」とコメントした。

英国の制裁強化については、英国は「自分の首を締めかねない」と述べ、一蹴。さらに、必要に応じ制裁圧力に対応するとしつつも、制裁合戦を繰り広げる代わりに、西側諸国と交渉の席に着く用意があると表明した。