【ロンドン時事】エリザベス英女王の次男アンドルー王子(61)が、性的虐待疑惑で米国で提訴され、王室内に動揺が広がっている。12日付のタイムズ紙は、王子の兄チャールズ皇太子に近い筋の話として、皇太子は「(疑惑によるダメージから)アンドルー王子が公務に戻ることはあり得ない」と考えていると伝えた。

性的虐待で英王子を提訴 20年以上前、ロンドンで―NY

 来年は女王の即位70周年だが、訴訟は少なくとも2年かかるとみられ、次男の問題が祝賀気分に水を差すのは必至。また来年後半には、王室を離脱した孫のヘンリー王子が王室生活を振り返る回顧録を出版する予定で、95歳と高齢の女王は、家庭内に深刻な「頭痛の種」を抱えたまま節目の年を迎えることになりそうだ。

 アンドルー王子は未成年への性的虐待などの罪で起訴された米富豪ジェフリー・エプスタイン被告(勾留中に死亡)と親交があり、同被告のつながりで当時未成年の女性と関係した疑いがある。女性は9日、王子から性的虐待を受けたとしてニューヨーク連邦地裁に提訴。王子は疑惑を否定しているが、提訴に関しては正式なコメントを出していない。王子は性虐待疑惑を受けて、2019年以降、公務への参加を停止している。

 タイムズ紙によれば、王室筋は、チャールズ皇太子が訴訟の行方にかかわらず、疑惑は王室への評価にリスクをもたらしたと考えていると指摘。同筋は「皇太子は弟を愛しており、どんな理由があるにせよ同情を寄せることはできる」とする一方、「これ(提訴)は王室の評価に対するダメージとなる。王子の復帰は不可能という皇太子の考えをさらに強めた」と述べた。
 同紙によると、王子は現在、女王が保養のため滞在中のスコットランドのバルモラル城に元妻といる。弁護団と連絡を取り合い、訴訟への対応を検討中とされる。