政府は、企業の不正を内部通報した人を保護するための指針をまとめた。通報者に降格や減給などの処分を行った役員らを懲戒処分にするよう企業に求めることが柱だ。近く公表し、来年6月までに新制度を開始させる。
内部通報者の保護強化策を盛り込んだ改正公益通報者保護法が昨年6月に成立したことを受け、消費者庁が具体的な運用指針作りを行っていた。改正法では、従業員300人超の企業に通報窓口や調査体制などの整備を義務づけている。
今回まとめた指針では、企業は通報窓口を設置した上で、担当者を書面で明らかにする。組織の幹部に関係する通報を受け付ける場合があることから、幹部からの独立性を確保した体制の整備も求めた。
内部通報者への「報復」を防ぎ、保護に実効性を持たせるため、指針には「(内部通報者への)不利益な取り扱いが行われた場合、役員らに対し、懲戒処分その他適切な措置をとる」と明記した。
政府は違反した企業に指導や勧告を行い、改善しない場合、企業名を公表する。窓口の担当者には情報の守秘義務が課され、違反すれば30万円以下の罰金を科す。300人以下の企業は努力義務とされている。