[ワシントン 18日 ロイター] – 米商務省が18日発表した7月の住宅着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比7.0%減の153万4000戸と、市場予想の160万戸を下回った。建設コストや住宅価格の上昇が第3・四半期に入ってもなお住宅市場の抑制要因となった。
6月の住宅着工件数は当初発表の164万3000戸から165万戸へ上方改定された。
7月の許可件数は前月比2.6%増の163万5000戸と、やや持ち直したものの、増加したのは変動の大きい集合住宅であり、深刻な住宅不足の解消には至っていない。また、建設許可を得たものの着工していない住宅の数は増えており、建設業者が新規プロジェクトの実施をちゅうちょしていることがうかがえる。
ブリーン・キャピタルのシニア経済アドバイザー、コンラッド・デクアドロス氏は「過去4カ月間、建設許可を得たものの着工していない住宅が過去最高水準に達するなど、供給側の課題が浮き彫りになっている」と指摘。また、ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、マーク・ビトナー氏は「住宅価格の高騰により値ごろ感が薄れ、今が住宅購入に適した時期であると感じる消費者の割合が記録的に減少する中、住宅建設が短期的に天井を打ったことは間違いない」と述べた。
地域別では、北東部や中西部、西部で減少する一方、人口密度の高い南部では増加した。
最も大きなシェアを占める一戸建て住宅の着工件数は4.5%減の111万1000戸。許可件数は1.7%減の104万8000戸。変動の大きい集合住宅の着工件数は13.1%減の42万3000戸。許可件数は11.2%増の58万7000戸だった。
木材先物は、5月に付けたピークの1000ボードフィート当たり1711ドルから急落したものの、建設コストは依然課題である。11月渡しは18日時点で約483ドルとなっている。用地と労働力不足も続いている。
住宅建設は3月に172万5000戸と、06年6月以来の高水準を付けた後、勢いがなくなってきている。住宅投資は第2・四半期に縮小したが、それまでは3四半期連続で2桁台の伸びが続いていた。
未着工の住宅件数は2.6%増の24万1000戸と、統計開始以降で3番目の高水準。ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、ライアン・スウィート氏は「未着工住宅の一部はキャンセルされるだろうが、サプライチェーンのボトルネックが解消され、木材などの価格急騰が収まれば、最終的には着工される」とした。
住宅完成件数は5.6%増の139万1000戸。一戸建て住宅の完成件数は3.6%増の95万4000戸だった。不動産業者は、在庫不足を補うためには一戸建て住宅の着工件数と完成件数が毎月150万─160万戸に達する必要があると試算している。
建設中の住宅は0.4%増の137万3000戸。