【ニューデリー時事】アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンは、英国の保護領からの独立記念日を迎えた19日、米国への勝利を宣言し、国民の団結を呼び掛けた。一方、東部アサダバードではこの日、タリバン戦闘員の発砲で複数の市民が死亡。タリバン幹部は「民主制」を否定しており、国民の懸念が強まっている。
タリバンは19日の声明で「米国という傲慢(ごうまん)な大国も抵抗に屈し、聖域のアフガンから撤退した」と勝利を誇った。
アサダバードで起きた戦闘員による発砲は、市民が独立記念日の集会でタリバンが国旗とする旗と違う、ガニ政権時代の国旗を振っていたことが原因とみられる。ロイター通信によると、首都カブールの集会でもタリバンによる威嚇射撃があった。
タリバン幹部はロイターが18日に伝えたインタビューで、新政権では「民主制は全く存在しなくなるだろう」と指摘。タリバン幹部で構成する評議会が国の運営に当たる可能性があると説明した。タリバンは、全勢力が参加する「包括的」な政権樹立を目指すと明言していたが、実質的な政権運営はタリバン幹部が行う考えであることが明らかになった。
こうしたタリバンの実態が伝わるにつれ、国外脱出を望む国民は増加している。タリバン側はカブールの国際空港周辺で検問を実施し、アフガン人の空港入りを厳しく制限。空港前で両親が幼い子供だけでも国外に逃がそうと、自分たちの前に立つ人々に子供を託す映像がインターネット上に広まった。
シャーマン米国務副長官は18日の記者会見で、アフガン人が安全に出国できるようタリバンと協議中だと述べた。