[東京 1日 ロイター] – 米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンへの異物混入が報告された問題を巡り、厚生労働省は1日、日本での流通を担う武田薬品工業の調査の結果、混入した異物は製造機器の破片(ステンレス)であり、医療上のリスクが増大する可能性は低いと発表した。使用を見合わせているワクチンは2日から回収するという。
厚労省は先月、複数の接種会場から、モデルナ製ワクチンに異物の混入があるとの報告があったとして、約163万回分の接種を見合わせると発表。異物混入の報告があった製造ロットは56万5400回分で、「十分に慎重を期して」、同ロットに加えて隣接する2つの製造ロットの接種を保留にしたと説明した。
武田薬とモデルナは共同声明で、「ステンレススチールは心臓の人工弁や関節置換、金属製の縫合糸やステープルなどの医療機器に用いられている」とし、そのため「当該ロットで見つかったきわめて小さな粒子状金属が仮に筋肉内に注入された場合でも、医療上のリスクが増大する可能性は低い」とした。
また、異物が混入したもっとも可能性の高い原因として、ワクチンの打栓を行う過程の機器に取り付けられた2つの金属部品の設置不具合による摩擦に起因するとした。
厚労省は先月28日、異物混入は報告されていないものの使用を見合わせたワクチンの接種後に2件の死亡事例が報告されたと発表していたが、武田薬はこの日の声明で、これらの死亡事例とモデルナ製ワクチンの接種に因果関係があるとは確認されておらず、偶発的に生じたものとした。