• 外国人投資家は河野行革相を「間違いなく好む」-CLSA
  • 日経平均、年内に24%上昇し3万6000円に達する可能性-大和証
Japan’s Prime Minister Yoshihide Suga speaks during a press conference at the prime minister’s office in Tokyo on September 3, 2021, following his announcement that he will not seek re-election for Liberal Democratic Party (LDP) leadership this month. (Photo by Behrouz MEHRI / AFP) (Photo by BEHROUZ MEHRI/AFP via Getty Images) Photographer: BEHROUZ MEHRI/AFP

日本に新たな首相が誕生する見通しが株式投資を活気づけ、株価指数を30年ぶりの高値に押し上げた。

  支持率の低い菅義偉首相に代わって与党・自民党の総裁に就き、次期首相を狙おうと同党総裁選には複数が名乗り出る見通しとなった。出馬を表明した岸田文雄前政調会長はすでに、数十兆円規模の経済対策が必要だと述べている。日本の政局としては珍しく興味をそそる展開に、投資家も注目している。

  大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは3日のリポートで、新首相が新型コロナウイルス感染症(COVID19)患者用の病床を増加させ、コロナ禍からの経済回復を持続させることができれば、日経平均株価は年内に現水準から24%高い3万6000円に上昇する可能性もあると指摘した。

  首相交代で、「世界をリードする」企業や少ないコロナ死者数など日本の強みに投資家が焦点を絞ることができるようになると、コムジェスト・アセット・マネジメント・ジャパンのポートフォリオマネジャー、 リチャード・ケイ氏はみている。菅首相は国民の支持を得られるやり方で政策を提示することに苦戦していたと振り返った。

首首相就任後の日経平均出所:ブルームバーグ

  「菅氏は不確実な空気を作り出し、投資家はそれを嫌った」とケイ氏は指摘。「同氏の問題はその多くがコントロール外だったが、日本が『泥沼化している』との認識を与えた」と続けた。

菅首相が総裁選不出馬、首相も辞任へ-コロナ対策と「両立できず」 (1)

  焦点は今や、近く行われる自民党総裁選に移る。3日には河野太郎行政改革担当相が出馬の意向だと伝わり、この報道を好感した株価上昇もトレーダーは期待している。

  「外国人投資家は間違いなく河野氏を好む。英語を話し、米国の大学で学んだ。これが大きくプラスに働いている」とCLSA証券のストラテジスト、ニコラス・スミス氏はブルームバーグテレビジョンで発言。「河野氏の時代が来たと思う」と述べた。

  総裁選には党前政調会長の岸田氏が、すでに出馬を表明している。河野氏ほどの人気はないものの、政権を握れば「数十兆円」規模の経済対策を行うという岸田氏の計画に市場は沸き立つ可能性がある。実際、誰が菅氏の後任となっても、政府支出を拡大させる公算は大きい。

  投資家は依然として注意が必要だと促す向きもいる。東京都では非常事態宣言が実質的に慢性化している。さらに、より長期的なリスクもある。 

  ピクテ投信投資顧問の松元浩常務は「そもそも、われわれが直面している問題、世界が直面している問題は、コロナという誰がやっても難しい問題のはずだ」と指摘。「菅氏はすごく人気がないが、では代えたからよくなるのかというとそんな問題ではない」と語った。

原題:Nikkei to 36,000 or Return to Market Malaise in Post-Suga Japan(抜粋)