[米テキサス州オースティン/ニューヨーク 3日 ロイター] – 米テキサス州で1日に人工妊娠中絶をほぼ禁じる州法が発効したことに対し、米企業から厳しい批判や独自の対抗策の表明が相次いだ。一部企業の間では社会的責任への強い関与を示す努力が強まっていることの表れだ。

米配車大手リフトは、同社サービスの運転手が新法で訴えられた場合、訴訟費用全額をリフトが負担すると表明。同社のグリーン最高経営責任者(CEO)はツイッターに「女性の健康医療へのアクセスや選択の権利への攻撃だ」と記し、女性の性と出産への医療サービスを提供する「プランド・ペアレントフッド(全米家族計画連盟)に同社が100万ドル寄付することも明らかにした。

これに呼応して同業大手ウーバーのコスロシャヒCEOもツイッターに投稿し、同社も同様に運転手への訴訟費用を持つと表明。音頭を取ったグリーン氏に謝意も示した。

新法では、妊娠6週以降とされる胎児の心拍確定後の中絶を「助けたり、そそのかしたりした」人だれをも、無関係の個人が訴えることができる。中絶処置のため医療機関に向かう女性を知らずに乗せる運転手も、訴えられる可能性がある。

一方でデートアプリ「ティンダー」運営大手マッチのCEOと、同業大手バンブルは1日、テキサス州を拠点とする従業員が州外で中絶処置を求める場合に支援する基金を設立すると発表した。

ドメイン名管理サービスのゴーダディは3日、中絶案件の通報に使われるテキサス州の反中絶ウェブサイトを閉鎖した。

同州議会はまた、ドライブスルー式の投票や24時間投票できる拠点を禁止し、選挙監視人の権限を強める投票制限法の最終案も可決した。これに対し、アメリカン航空の広報担当者は「この法案には違う結果を期待していた。われわれは結果に失望している」と表明した。

テキサス州本拠の企業向けハードウエア開発・生産のヒューレット・パッカード・エンタープライズの広報担当者も「従業員6万人の世界企業として」投票制限に立ち向かうことを従業員に奨励すると述べた。

同州では1日、許可なく銃を隠し持つことを認める法律も発効。同州オースティン本拠の半導体メーカー、シリコン・ラボラトリーズのタトルCEOは、同州が中絶禁止と銃所持、投票制限と続けざまに動いたことは「全米各地でこれから起こることの前振れだ」と警告を発した。