[シカゴ 10日 ロイター] – 新型コロナウイルスワクチンが感染力の強いデルタ変異株に対し、入院や死亡の予防に有効であるものの、75歳以上の高齢者では効果が弱まる可能性があることが、米国で実施された3例の研究データから示された。
デルタ株が猛威を振るっていた時期に緊急医療施設や救急病院を訪れた3万2000人超を対象とした米9州のデータからは、全ての年齢層で、モデルナ製ワクチンが入院の予防で95%の効果があることが分かった。これに対し、ファイザー・ビオンテック製では80%、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製では60%有効だった。
また、4月から7月中旬にかけ13の州と大都市で60万人超が関与した調査では、デルタ株の影響が見られた過去2カ月間において、ワクチンを接種していない人は、完全にワクチンを接種した人に比べて、コロナに感染する確率が約4.5倍、入院する確率が10倍、死亡する確率が11倍高いことが分かった。
米疾病対策センター(CDC)のワレンスキー所長は会見で、「ワクチン接種が有効であり、新型コロナの重篤な合併症から私たちを守ってくれる」ことが研究から明らかだと語った。
デルタ株による入院や死亡に対するワクチンの予防効果は高かったものの、完全にワクチンを接種してもなお軽症ながらコロナに感染する人が増えていることも確認されており、専門家らは、ワクチンによる集団免疫が衰えている可能性もあると指摘している。