【ソウル時事】朝鮮中央通信は13日、北朝鮮の国防科学院が11、12両日に新型長距離巡航ミサイルの発射実験を実施し、成功したと伝えた。北朝鮮がミサイルを発射するのは3月以来。発射には金正恩総書記は立ち会わず、このほど新たに就任した朝鮮労働党の朴正天政治局常務委員兼書記らが参観した。
同通信によると、長距離巡航ミサイルは領土と領海の上空に設定された「楕円(だえん)および八の字形の飛行軌道」を7580秒(2時間6分20秒)飛行し、1500キロ先の目標に的中。新開発エンジンの「推進力」やミサイルの「飛行操縦性」「命中正確性」など「設計上の要求をすべて満足させた」として、「兵器体系運用の効果性と実用性が優秀に確証された」と強調した。
北朝鮮は8月の米韓合同軍事演習に強く反発。今月に入り朝鮮人民軍総参謀長などを務め、ミサイル開発に関わってきた朴氏を党最高首脳部の政治局常務委員に昇格させたほか、9日には民間防衛部門を中心とした閲兵式を実施するなど軍事力強化再開に向けた布石を打ってきた。
報道では、今回のミサイル発射が「国家の安全をさらに保障し、敵対的な勢力の反共和国軍事的蠢動(しゅんどう)を制圧するもう一つの効果的な抑止手段を保有する戦略的意義を持つ」と主張。核・ミサイルなど「戦争抑止力」で米韓に対抗する狙いがあるとみられる。
また、日米韓3カ国は14日、北朝鮮の核問題に関する実務者協議を東京都内で開催する予定。ミサイル発射は、米国を中心に連携強化を図る日米韓をけん制する意味合いもありそうだ。