【ニューデリー時事】アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンが、反対勢力「アフガン国民抵抗戦線」(NRFA)の中心人物の家族を処刑した。タリバンは国家運営の実権を掌握後、国民全員を「恩赦」する方針を強調してきたが、敵対勢力への容赦ない報復を進めていることが徐々に明るみに出てきた。
地元メディアなどによると、処刑されたのは、タリバンの進撃で崩壊した民主政権で第1副大統領を務め、NRFAに加わったサレー氏の兄。ロイター通信は10日、サレー氏のおいの話として「タリバンは9日に彼を処刑し、埋葬も許さなかった。遺体は腐敗するべきだと言った」と打ち明けた。タリバンはサレー氏の兄が戦闘で死亡したと主張している。
サレー氏は民主政権で情報機関のトップも務めており、タリバンの恨みを買っていたとみられている。8月15日に首都カブールが制圧されると、北東部パンジシール州の渓谷地帯に移り、抵抗を続けていた。
タリバンのムジャヒド報道担当者は8月17日の記者会見で「憎しみはない」と語り、国民全員への「恩赦」を宣言。団結して新国家の運営に当たるよう呼び掛けていた。
しかし、各地で民主政権の兵士を処刑したり、民主政権高官らの銀行口座を凍結したりといった報道が続いている。外国の駐留軍や公館、メディアなどで働いていた市民も、タリバンの報復におびえる日々を送っている。