- 恒大への抗議活動、社会安定を重視する政府に影響及ぼす可能性
- 「世界の500社に選ばれているから安全と言われた」-投資家の1人
不動産開発大手、中国恒大集団を巡る問題に新たな火種が持ち上がっている。同社が提供する個人投資家向けの高利回り商品だ。同社が安全性をアピールし販売していた商品を購入した投資家は損失や償還遅延に直面し、抗議の声を上げている。
恒大のウェルス部門責任者、杜亮総経理は10日の従業員との会合で、国内で7万人超が同社の資産運用商品(WMP)、いわゆる理財商品を購入したと説明。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。財新が杜総経理の説明を受けた関係者の情報を基に報じたところによれば、理財商品のうち400億元(約6830億円)程度が満期を迎えている。
資金繰りにあえぐ恒大にとって、バランスシートに記載されない投資商品は重要な資金調達手段だ。中国全体に広がる同社への抗議行動は、社会の安定を特に重視する政府の同社救済を巡る決定を左右する可能性がある。
恒大は最大で年率約13%の高金利をうたって理財商品を販売し、獲得した資金を運転資本に回していたという。杜総経理の説明によれば、投資家に返金するため同社が推計する約800億元相当の資産を売却する計画だと、同関係者は述べた。
恒大の理財商品を購入した投資家の多くは従業員だ。同社も従業員に購入を奨励していたという。安徽省だけでも従業員の70-80%が同社の理財商品を購入し、他の地域の支社でも恐らく似たような状況だと、地元テレビ局が従業員1人を引用して伝えた。
14日も深圳にある恒大の主要オフィス近くに約50人の投資家が詰めかけ、社員が対応に当たっていた。
恒大の理財商品を購入した31歳のある投資家は、「恒大は世界の500社に選ばれているから、この商品は非常に安全だと言われた」と語り、「このような世界の500社企業をこれまで見たことない」と続けた。
この投資家は12月に償還を迎える同社の理財商品を80万元相当購入しており、購入資金の一部はローンで賄った。
原題:Evergrande’s Overdue Wealth Products Become Crisis Flashpoint(抜粋)