軟調な米経済データや債務上限の引き上げを巡る民主党と共和党の対立継続を受け、米金融当局は債券購入のテーパリング(段階的縮小)の発表を先送りし、結果として米国債利回りが一段と低下する可能性がある-。グッゲンハイム・インベストメンツがそうした見方を示した。
グッゲンハイムのスコット・マイナード氏のオフィスはリポートで、市場では11月にテーパリングの発表があるとの見方が大勢だが、債務上限の問題を巡りワシントンで「近く起きるドラマ」が市場と経済を混乱に陥れる可能性があり、発表が12月に先送りされることもあり得ると分析。最近の経済データからは、米連邦公開市場委員会(FOMC)が来週の会合で刺激策縮小を決める可能性が低いことが示唆されると記した。
グッゲンハイムのエコノミスト、ブライアン・スメドリー氏とマット・ブッシュ氏は同リポートで「結論を言えば、辛抱強い金融当局と財政面でのリスクの高まりが織り込まれることで、債券利回りが一段と低下する可能性がある」と予想。米5年債と30年債の利回り差は現在、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が新たな政策の枠組みを発表し物価圧力の一時的なオーバーシュートを容認した2020年8月よりもフラット化しており、インフレ期待の低下を示唆していると指摘した。
テーパリング発表が延期されれば、2023年早期の利上げ開始を見込む市場が楽観的になり過ぎていると示唆することにもなると、リポートは指摘した。
原題:Guggenheim Warns Fed May Delay Tapering Amid Debt Ceiling Risk(抜粋)