フランスのルドリアン外相=10日、ドイツ・ワイマール(AP=共同)

【パリ=三井美奈】フランス外務省は17日に声明で、駐米、駐オーストラリアの仏大使2人を召還すると発表した。オーストラリアが米英豪3カ国の新たな安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の創設に伴い、フランスとの潜水艦の共同開発計画を破棄したのに抗議したもの。

声明は、豪州がフランスと2016年に結んだ開発合意をほごにし、米国との潜水艦開発を決めたのは、「同盟国やパートナーとの間で、受け入れがたい行為」と批判。欧州にとってのインド太平洋の重要性に関わる問題だと主張した。大使召還は、マクロン大統領が主張したとしている。

仏紙ルモンドによると、マクロン氏は15日、米ホワイトハウスでオーカス創設が発表される数時間前、豪州側から計画破棄の決定を告げられた。英紙ガーディアンは、今年6月に英国で開かれた先進7カ国(G7)首脳会議にモリソン豪首相が招かれた際、米英豪3首脳が潜水艦計画について話し合ったと伝えた。中国の軍事力増強に対応し、豪州は長期潜水が可能な原子力潜水艦の技術供与を求めたとされる。フランスとの計画では、原潜技術は含まれていなかった。

ルドリアン仏外相は16日、仏ラジオで豪州の決定について、「背中から刺された。裏切られた」と強い怒りを表明。バイデン米政権に対しても「一方的で乱暴な決断。まるでトランプ前大統領のようだ」と非難していた。フランスは18年、欧州で初めてインド太平洋戦略を発表し、オーストラリアをパートナー国と位置付