[ワシントン 21日 ロイター] – 米商務省が21日発表した8月の住宅着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比3.9%増の161万5000戸と、市場予想の155万5000戸を上回った。ただ、一戸建て住宅の着工件数は引き続き低調で、建設業者が引き続き投入コストの上昇や労働力および土地の不足に悩まされていることが示された。

8月の着工件数の前年同月比は17.4%増。7月の着工件数は当初発表の153万4000戸から155万4000戸に上方改定された。

最も大きなシェアを占める一戸建て住宅の着工件数は2.8%減の107万6000戸。減少は2カ月連続だった。地域別では西部および中西部で減少する一方、北東部と人口密度の高い南部では増加した。

ハイフリークエンシー・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、ルベーラ・ファルーキ氏は「投入コストの上昇と(労働力や土地の)不足は依然として建設業者の逆風になっている」と指摘。「ただ、在庫はまだ積み上がっておらず、これらの制約が緩和されれば活動にプラスになるはずだ」と述べた。

ただ、ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、マーク・ビトナー氏は「住宅用木材価格はスポット市場で急落したが、住宅建設業者はまだこの恩恵を受けていない」とし、「窓やブレーカーボックスなど、他の必須の建材の品不足は解消していない」と指摘。キャピタル・エコノミクスのシニア不動産エコノミスト、マシュー・ポイントン氏は、供給問題が引き続き重しになるとし「一戸建て住宅の着工件数は年率換算で21年末までに116万戸、22年末までに120万戸と、段階的にしか増加しない」との見方を示した。

変動の大きい集合住宅の着工件数は21.6%増の53万戸。新型コロナウイルスワクチン接種の進展により都心部のオフィスが再開し、賃貸重要が高まったことが寄与した。

8月の許可件数は6.0%増の172万8000戸。一戸建てが0.6%増の105万4000戸、集合住宅が19.7%増の63万2000戸だった。

ブリーン・キャピタルのシニアエコノミックアドバイザー、コンラッド・デクアドロス氏は「集合住宅の堅調さは賃貸住宅の家賃の力強い上昇と空室率の低さを反映したのだろう」と述べた。

未着工の住宅件数は3.7%増の25万1000戸と、統計開始以来の高水準。

住宅完成件数は4.5%減の133万戸。一戸建て住宅の完成件数は2.8%増の97万1000戸。不動産業者は、在庫不足を補うためには一戸建て住宅の着工件数と完成件数が毎月150万─160万戸に達する必要があると試算している。

建設中の住宅は1.7%増の140万4000戸。