自民党の総裁選はいよいよ余す所あと2日となった。29日に国会議員の投票と地方票を含めた開票がおこなわれる。メディアの報道を見る限り一回目の投票で決着することはなく、上位2人で争う決選投票が有力視されている。決選投票に勝ち残るのは、1人は河野氏がほぼ確実。問題はもう1人。岸田氏か高市氏か、どちらかだ。どちらが決選投票に勝ち残るかで、自民党議員の票は大きく動くようだ。派閥の締め付けも強くなる。骨肉の争いが展開されると主流メディアは面白おかしく報道している。この世界にコミットするつもりはないが、そうなれば派閥とボス政治家が闊歩するいつもの永田町の風景に戻るだろう。政治家とメディアが血湧き肉踊る世界でもある。一般庶民には全く関係ない。ついでに言えば日本の将来もここでは無視される。重視されるのはポストとボスの上意下達だけ。国民が総選挙でお仕置きすることもないだろう。自民党のメディアジャックは総選挙が終わるまで続く。

「野党よ、しっかりせよ」と言いたいが、どうやらそれも無理のようだ。今朝のYahooニュースに選挙コンサルタント兼政治アナリストの大濱崎卓真氏の、自民党総裁選分析が掲載されている。「自民党総裁選最終盤情勢と、政党支持別『次の総理にふさわしいと思う人』調査の驚くべき結果とは」とタイトルされている。「驚くべき結果」に目を引かれて記事に目を通してみた。来るべき総選挙に向けて誰に投票するか、調査会社グリーン・シップが9月25日に行った調査結果が紹介されている。それによると自民党支持者の1位は河野氏、2位が高市氏。岸田氏が2位に入っていないが、それ以上に驚くのは立憲民主党支持者の第1位が河野氏となっていることだ。枝野氏は第2位にかろうじてランクインしているが、これでは同党代表の面目は丸潰れではないか。この調査は固定電話だけの主流メディアの調査と違って、携帯を含めたハイブリット調査である。より実態に近い数字が出ると言っていいだろう。

そこで立憲支持者に「次の総理にふさわしい人」を聞いた結果、第1位が河野氏になったのだ。支持する政党がない人に聞いた結果ならまだ納得がいく。そうではない。立憲民主党支持を公言している人に聞いた調査だ。まさに「驚くべき結果」ということになる。百歩譲って立憲民主党に気の毒な面がないわけではない。菅首相の突然の不出馬表明で戦略が完全に狂ったうえ、主流メディアの連日に及ぶ総裁選報道である。これは明らかにメディアジャックである。枝野氏がいくら政権を取った最初の閣議で決定することを表明しても、怒涛の如く流出する総裁選にかんする一般メディアの情報量に太刀打ちできない。同党も指をくわえて成り行きを見守っているわけではない。連日の小出しの政策発表を行なっているが効果はほとんどない。総選挙対策に小沢氏の知恵を借りるとも報道された。だが、これもおそらく逆効果だろう。新鮮味がない。要は国民の胸に響かないのだ。唯一の対策は党首を変えること。それができなければ来るべき総選挙は推して知るべしだろう。