【テヘラン=水野翔太】アフガニスタンで実権を握ったイスラム主義勢力タリバンは28日、暫定政権による統治期間中の措置として、1973年まで続いた王制時代の旧憲法を復活させる方針を明らかにした。イスラム法の解釈に照らして修正するとしており、議会制など西欧型の仕組みが骨抜きになる恐れもある。

 タリバン側の発表によると、暫定政権のアブドルハキム・シャルイ司法相が中国の駐アフガン大使との会談で方針を伝えた。

 64年に制定された旧憲法は、国王を国家の最高権威と位置づけ、軍最高司令官の地位のほか、首相や最高裁判所判事らの任命権も付与した。タリバンの狙いは、組織の最高指導者ハイバトゥラ・アクンザダ師に強大な権力を持たせることにあるとみられる。

 一方、タリバンはイスラム法に照らして修正する内容を示しておらず、議会などの民主的な制度がどこまで採用されるかは不明だ。8月に崩壊した民主政権下の憲法は男女同権を認めていたが、タリバンは女性の権利保護に「イスラム法の範囲内で」との条件を付けている。