• 米政府機関閉鎖は回避、電力確保を中国命令、エリオットの東芝戦略
  • 注目の3人が懸念するリスク、主要中銀がまとめたデジタル通貨報告

10月に株式が下げる「10月効果」はデータの裏付けがないジンクスで、1987年に起きたブラックマンデーの置き土産です。そのブラックマンデーで手腕を振るったグリーンスパン元米連邦準備制度理事会(FRB)議長が最も信頼していた経済統計が、新規失業保険申請件数。毎週発表される統計ですが、10月21日に発表されるものは対象期間が10月の雇用統計の調査時期と重なります。その10月の雇用統計が発表されるのは11月5日、次回米連邦公開市場委員会(FOMC)の2日後です。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

閉鎖は回避へ

米連邦議会の下院は期間9週間の暫定予算案を賛成254、反対175で可決した。上院は同法案を可決済みで、法案はバイデン大統領に送付される。これによって政府機関閉鎖は回避される見通し。民主党は当初、同法案と連邦債務上限の適用停止を一体化させる考えだったが、共和党が反対の姿勢を崩さないために断念せざるを得なかった。同法案には自然災害からの復旧で州を支援する286億ドル(約3兆1900億円)と、アフガニスタン難民の米国定住を支援する63億ドルも含まれる。

停電容認せず

中国当局は国有の大手エネルギー各社に対し、冬季の供給確保に全力で取り組むよう厳命した。関係者によれば、この命令はエネルギー部門を管轄する韓正副首相から直接出されたもので、国有資産規制当局と経済計画を担当する当局が参加した今週の緊急会議で伝えられた。政府は停電を許さない姿勢だという。これを受けてニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物11月限は一時、前日比1.7%高となった。天然ガス先物相場は一段高。 

東芝の「根源的価値」

米投資会社エリオット・インベストメント・マネジメントは、東芝の「大規模な投資家」になったと明らかにした。東芝の取締役会は株式非公開化について検討している。エリオットの広報担当者は電子メールで、「東芝への投資は同社の根源的価値に対する強い確信を反映している」と説明した。先にエリオットの持ち分積み増しについて報じていた英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、エリオットの持ち株比率は5%を超えていない。

3巨人の警告

アーク・インベストメント・マネジメント創業者のキャシー・ウッド氏は、われわれが目にしているのは大きなデフレ圧力の高まりだと論じる。アリアンツ主任経済顧問のモハメド・エラリアン氏は、最も大きな懸念事項は国内、国家間の両方で見られる格差だと指摘。不平等が悪化する動きが生まれているという。グッゲンハイムインベストメンツのスコット・マイナード会長は、一番のリスクは世界的な決済システムの持続可能性だとみる。これまでにハッカーやテロリストの攻撃は極めて多くあったと指摘した。

銀行へのリスク

中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、将来の金融危機の際に安全な逃避先として選好される可能性がある一方で、市中銀行での取り付け騒ぎを悪化させる恐れもある。世界の主要中央銀行が30日公表した一連の報告書で、こうしたシナリオが金融安定性に対するリスクの一つとして示された。報告書を作成したのは日本銀行や米連邦準備制度理事会(FRB)、イングランド銀行(英中央銀行)、欧州中央銀行(ECB)、国際決済銀行(BIS)など。報告書は世界的な大手銀行に及ぼし得る影響についても触れ、CBDCによって銀行預金が減り、業界の資金力が損なわれる恐れを指摘した。

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