[東京 14日 ロイター] – 小林鷹之経済安保担当相は14日、報道各社とのグループインタビューで、中国のデジタル人民元を念頭に、民主主義陣営のデジタル通貨のルール形成で日本は役割を果たすべきと強調した。半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が日本に工場を建設する意向を表明したことについては、日本の半導体産業に欠如したロジック半導体の製造拠点だとして歓迎の意向を示した。
<デジタル通貨、他国が先行なら安保含め影響検討必要>
小林経済安保担当相は、金融・通貨が「広い意味で安保に関わる」と指摘し、「日本が国際秩序のルール形成で主導的な役割を果たすには、デジタル通貨のあり方についてもしっかり検討を加速し、いつでも実行に移せる準備が必要」と述べた。
特定の国を名指しはしなかったが、「他の国がデジタル通貨で日本に先行したとき、そのことが安保を含め日本にどう影響するか頭の整理をしないといけない」と述べた。
その上で「日本が果たすべき役割は、基本的価値観を共有する同盟国、同志国の(デジタル通貨)連携を主導すること」とし、「日本は民主主義陣営の連携を主導できる」との認識を示した。「米国は既存のドル体制が望ましいとの考えが強く、欧州は意思決定に時間がかかる」ことが理由という。
<日本の半導体産業は「瀬戸際」>
TSMCによる日本への投資について「半導体はデジタル社会の基盤を支えるもので、安定供給の体制が極めて重要」と指摘。「特に、今回TSMCが表明した製造拠点は、日本の半導体産業のミッシングピースであるロジック半導体、そこを埋めるもの」との認識を示した。
「日本の半導体産業は瀬戸際にある」と述べ、今後はさらなる先端半導体の開発で民間企業、アカデミアの協力も必要だと指摘した。