[ワシントン 15日 ロイター] – 米商務省が15日発表した9月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.7%増と、市場予想の0.2%減に反し増加した。しかし、自動車などの在庫不足が続く中、供給の制約が年末商戦の小売売上高に影響する懸念は拭えない。

8月の小売売上高は0.7%増から0.9%増に上方改定された。

ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サム・ブラード氏は「レストランや小売店の来客数は晩夏以降横ばいになっている」としつつも、クレジットカードなどの取引データは「底堅い消費を示している」と述べた。

国内総生産(GDP)の個人消費項目に密接に関連しているとされる自動車、ガソリン、建設資材、外食を除くコア小売売上高は、9月に0.8%増加した。8月分は2.5%増から2.6%増に上方改定された。

エコノミストは、第3・四半期の個人消費の伸びが年率2%近辺と、第2・四半期の12%から大幅に鈍化したと予想する。米経済の3分の2以上を占める個人消費の低迷は、第3・四半期の国内総生産(GDP)伸び率が第2・四半期の6.7%から減速した可能性を示唆している。

ナットウエスト・マーケッツのチーフ米国エコノミスト、ケビン・カミンズ氏は、デルタ変異株の感染拡大や政府支援の先細りを背景に、消費は第3・四半期に停滞したように見えるとしつつも、堅調な雇用の伸びと貯蓄率の高止まりが今後の消費を支援する見通しと述べた。

バイデン米大統領は13日、サプライチェーン(供給網)の目詰まりの解消に向け、港湾運営会社や小売りおよび物流大手と連携して対策を強化する方針を表明。物流の混乱が年末商戦に悪影響を与える恐れがある中、カリフォルニア州の主要港を24時間体制で稼働させる。