Steve Matthews

  • FRBスタッフ、22年にインフレ率は2%未満に低下と予測
  • FRBスタッフ予測は民間よりもたいてい正確-調査が示す

博士号を持つ400人余りの米連邦準備制度理事会(FRB)エコノミストはインフレについて、政策当局者と米市民に「落ち着け」というメッセージを発している。

  一部の政策決定当局者はインフレ上昇に公の場で懸念を表明し、ウォール街はインフレ予測を引き上げた。それでも13日に公表された9月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、ワシントン本部のFRBスタッフは来年にインフレ率が2%未満に戻ると予想している。

  この水準は米金融当局が長期目標とする2%を下回るばかりでなく、インフレ目標の基準とする個人消費支出(PCE)総合価格指数の8月の前年同月比上昇率(4.3%)の半分にも満たない。

  元FRBエコノミストで、ジェーン・ファミリー・インスティテュートの上級研究員クラウディア・サーム氏は、FRBスタッフ予測を「極めて深刻に受け止めるべきだ」と指摘。「それが正しいという意味ではないが、経済予測で世界最高の専門家たちだ。これまでの結果を吟味してみれば、短期的な経済の分析では他の予測機関はFRBの足元にすら及ばない」と語った。

  FOMCの2020年9月会合の議事要旨によると、1年前のスタッフ予測は当時1.3%前後だったインフレ率の上昇を見込んでいたが、実際起きたような急騰を言い当ててはいなかった。政策決定当局者自身は21年のインフレ率を1.7%と予想し、FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長は主に、インフレが目標を下回り続けるリスクについて質問され、議長はインフレ上昇に自信を表明していた。

  セントルイス連銀のエコノミスト、マイケル・オウヤン氏によると、それでもFRBスタッフ予測は大抵の場合、ウォール街のコンセンサス予測よりも正確だ。同氏は19年にFRBスタッフ予測が民間セクターよりも正確だったとのリポートを共同著者としてまとめた。

  スタッフの詳細な予測はFOMCに配布される「ティールブック」と呼ばれる文書に盛り込まれ、5年間公開されないが、スタッフの見解はインフレ高進は「一時的」というものだ。

  FOMC議事要旨によると、「供給問題を原因とした消費者物価の上昇は一部巻き戻され、輸入価格は急速に低下すると予想される」と指摘。「従ってPCE価格指数の上昇率は2022年に2%をやや下回る水準へと低下する見通しだ」とし、インフレには上振れリスクもあるとスタッフは付け加えた。  

原題:Fed Staff Says Wall Street Is Getting Inflation Call All Wrong(抜粋)