[ニューヨーク 19日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、米国債利回りが上向いたことでドルが下げ幅を縮小した。ただ英ポンドなど他の通貨が早期利上げ観測で上昇する中、ドルの上値は重かった。

先週は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ高進に対応するために利上げに動かざるを得なくなるとの見方が台頭し、米国債利回りが大きく上昇。これに伴い、ドル指数も約1年ぶりの高水準を付けていた。

この日の債券市場は落ち着きを取り戻したものの、国債利回りは再び上昇し、10年債利回りは約3カ月ぶり高水準を付けた。これについてスコシアバンクのアナリストは「国債利回りの動きはドル安の説明に全くならない」とし、テクニカルな要因で値動きが拡大されたとの見方を示している。

朝方発表された9月の住宅着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比1.6%減の155万5000戸。建設用資材や労働力の持続的な不足が住宅市場や経済活動全体を圧迫する中、市場の増加予想(162万戸)に反し減少し、4月以来の低水準となった。これを受け、ドルはやや下落した。

FRB当局者の発言では、リッチモンド地区連銀のバーキン総裁が、米国の労働力不足は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)よりも長引く可能性があり、働く意欲と能力がある労働者の数を増やすために、より良い教育、医療保健、育児政策が打ち出されなければ、全般的な経済成長が制約を受ける恐れがあると述べた。

主要6通貨に対するドル指数は一時93.50と、9月28日以来の低水準を更新。終盤の取引では0.22%安の93.73。

ユーロは0.25%高の1.1640ドル。

英ポンドやニュージーランドドルなどの通貨は早期利上げ観測を反映して上昇。英ポンドは0.51%高の1.3798ドル、ニュージーランドドルは1.14%高の0.7159米ドル。一時は0.7172米ドルと、6月11日以来の高値を付けた。

豪ドルは0.7485米ドルと、7月15日以来の高値を更新。ハト派的だったオーストラリア準備銀行(中央銀行)の10月理事会の議事要旨はあまり材料視されなかった。

オフショア人民元は1ドル=6.3674元と、6月1日以来の高値を付けた。経営危機に直面している中国の不動産開発大手、中国恒大集団に関連する波及懸念が緩和したことが背景。

暗号資産(仮想通貨)では、ビットコイン先物ETF(上場投資信託)の取引が米国で始まったことを受け、ビットコインが6万3789ドルに上昇し、4月に付けた過去最高値(6万4895ドル)に迫った。

ドル/円 NY終値 114.36/114.40

始値 114.15

高値 114.39

安値 114.16

ユーロ/ドル NY終値 1.1632/1.1636

始値 1.1658

高値 1.1662

安値 1.1630