資金繰り難に陥っている中国の不動産開発大手、中国恒大集団は、本来9月23日が期限で、30日間の猶予期間の終了も迫っていた8350万ドル(約95億3000万円)相当のドル建て社債利払いを実施した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。世界の投資家が数カ月にわたり注視してきた問題が急展開した。

  非公開の取引だとして匿名を条件に話した関係者によると、中国恒大は8350万ドルを送金しており、社債保有者は猶予期間が終了する今月23日より前に利払いを受ける見通し。中国恒大の担当者はコメントを控えた。

  この数カ月、不履行を巡る観測が渦巻き、資金難の同業他社への波及でクレジット市場も動揺。一部の試算で中国経済の4分の1超を占めるとされる不動産市場への信頼感も損なわれた。

中国恒大、ドル建て債利払いで沈黙続ける-投資家の不安くすぶる

  中国恒大は取引先の銀行やサプライヤー、本土の投資商品保有者への返済・支払いに必要な資金の調達に苦慮。今回の利払いは同社にとって、ドル建て社債の優先順位が予想よりも高い可能性を示唆している。

  中銀国際の呉瓊エグゼクティブディレクターは、「中国恒大の逼迫(ひっぱく)した流動性状況を踏まえると、この利払い実施は問題を先送りする試みのようにも見受けられる」と指摘しながらも、「今回のドル建て債利払いはポジティブだ。同社が資産売却に必要な時間を稼ぐことになり、秩序ある再編という基本ケースを裏付けることにもなる」と話す。

  社債利払いに関しては国営メディアの証券時報が先に報じていた。

  市場はこのニュースを好感。22日の香港市場では中国の不動産開発銘柄が値上がり。また、複数のクレジットトレーダーによれば、中国恒大のドル建て債は気配値で額面1ドルに対して一時3セント上昇。一方、香港市場では中国恒大株が7.8%値上がりする場面があった。

  中国恒大は年内にまだドル建て債の利払いが控えている。また、来年は社債の大量償還という高い壁が立ちはだかっており、オンショアならびにオフショア債で約74億ドル相当に上っている。

Note: Totals for HKD and yuan-denominated debt converted into U.S. dollars as of Oct. 21

恒大ドル建て債利払い利払い期日額(百万ドル)
EVERRE 8.25% due 20229月23日83.53
EVERRE 9.5% due 20249月29日45.17
EVERRE 9.5% due 202210月11日68.88
EVERRE 10% due 202310月11日42.5
EVERRE 10.5% due 202410月11日36.75
TIANHL 13% due 202211月6日41.93
TIANHL 13.75% due 202311月6日40.56
EVERRE 7.5% due 202312月28日50.43
EVERRE 8.75% due 202512月28日204.77
EVERRE 12% due 20241月22日60
EVERRE 11.5% due 20231月22日57.5
TIANHL 12% due 20231月24日120
TIANHL 11.5% due 20221月24日115

原題:Evergrande Avoids Default With Last-Minute Bond Interest Payment(抜粋)