[ジュネーブ 25日 ロイター] – 国連の世界気象機関(WMO)は25日、温室効果ガスの世界平均濃度が2020年に史上最高水準に達したという報告書を発表し、世界は気温上昇阻止に向け「軌道を外れている」と警鐘を鳴らした。
報告書によると、大気中の二酸化炭素(CO2)の平均濃度は20年に413.2ppm(ppm=100万分の1)に急増。過去10年間の平均を上回る増加ペースとなった。
新型コロナウイルス感染に絡むロックダウン(都市封鎖)や景気減速に伴い、濃度は一時減少したものの、「温室効果ガスの水準や増加ペースに目に見える影響はなかった」と確認した。
WMOのターラス事務局長は、現在の温室効果ガスの濃度では、気温上昇を産業革命前比で1.5度にとどめるという地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の目標を「はるかに超える」気温上昇を招くと警告。「軌道から大きく外れている。工業やエネルギー、輸送システムや生活全体を見直す必要がある」とし、月末に英グラスゴーで開幕する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、気候変動を巡る取り組みの「劇的な拡大」を実現するよう呼び掛けた。
報告書はさらに、CO2の濃度が21年も上昇し続けている可能性があると指摘。WMO幹部は「排出量を可能な限り早急に削減する必要があり、避けて通ることはできない」と述べた。