米フェイスブックは社名を「メタ」に変更する。有害コンテンツの問題などが指摘されるソーシャルメディアとしてのフェイスブックと企業イメージを切り離し、仮想現実(VR)に焦点を充てた新しいコンピューティングプラットフォームへの移行を打ち出す。
マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は同社が28日開催したバーチャル形式のイベントで「メタバース(ネット上の仮想世界)が次のフロンティアだ」と発言。「これからはフェイスブック・ファーストではなく、メタバース・ファーストで進んでいく」と述べた。
同社は社名変更に合わせ、12月1日付で証券コードを「MVRS」に変更する。
Facebook Changes Name to Meta
バーチャル形式のイベントで話すザッカーバーグCEO
社名変更は同社によるデータの利用や共有には影響せず、企業構造も変わらない。ザッカーバーグ氏は「現在、当社のブランドは1つのプロダクトとあまりに密接に結びついているため、われわれが行っていることのすべてを表現できない。未来のことはなおさらだ」と述べた。
ヘッドセット「オキュラス」など同社のVR端末はこれまでのところ普及があまり進んでおらず、用途も主にゲームなどニッチな分野に限られている。メタバースという大きなビジョンの実現は何年も先になるとみられるが、この日のイベントで同社は、その目標を前進させる一連の製品アップデートを発表した。
28日の米株市場で同社の株価は一時4%余り上昇した。終値は1.5%高の316.92ドル。
サンフォード・C・バーンスタインのアナリスト、マーク・シュムリク氏は「今後10年のどこかの時点で、新しいコンピューティングプラットフォームは登場するだろう」と指摘。「つまり時代が変わった時に、言葉は悪いがアップルやグーグルのような存在でいたい、というのが彼らの考えだ」と語った。
メタバースというビジョンの実現は困難も予想される。アップルがVR機器を発表すれば同社にとって手ごわい競争相手になるだろう。フェイスブックは先月、スマートグラス(眼鏡型端末)「レイバン・ストーリーズ」を発表したが、拡張現実(AR)機能は搭載しておらず、ライバルのスナップには遅れを取っている。
フェイスブック、「レイバン」のスマートグラス発売-米英などで
原題:Facebook Changes Name to Meta in Embrace of Virtual Reality (1)(抜粋)