会見に臨む日本維新の会の松井一郎代表(左)と吉村洋文副代表=31日午後、大阪市北区(鳥越瑞絵撮影)
会見に臨む日本維新の会の松井一郎代表(左)と吉村洋文副代表=31日午後、大阪市北区(鳥越瑞絵撮影)

31日に投開票された衆院選で、日本維新の会が単独での法案提出が可能な21議席以上を獲得し、自民党、立憲民主党に続く第3党に躍進した。改革路線を前面に打ち出して岸田文雄政権との対決姿勢を強める一方、主要野党とも一線を画すことで「第三極」の支持層を取り込んだといえる。全国政党への脱皮を果たし、来年の参院選に向けて存在感を高めていきたい考えだ。

維新の松井一郎代表(大阪市長)は同市内のホテルで開いた記者会見で「今回は与党の勝利」とした上で、公約にしている国会議員定数の削減について「単独で法案を出せる力をいただいた。われわれが先頭を切って提出したい」と述べた。

また、衆院選後に代表選が実施された場合は不出馬を明言。会見に同席した吉村洋文副代表(大阪府知事)も同じく出馬を否定した。

維新は今回の衆院選で、全国の選挙区と比例代表を合わせて96人の公認候補を擁立し、地盤とする大阪では19選挙区中、候補者を立てた15選挙区で全勝。比例代表の北関東ブロックで2議席を獲得したほか、東京や南関東ブロックでも複数の議席を確保する見通しだ。

支持拡大の要因として、与党や主要野党と異なる「改革政党」の立場を鮮明にしたことが挙げられる。

維新は母体の地域政党「大阪維新の会」が結党された平成22年以降、積み上げてきた私立高校授業料の無償化など改革の実績をアピール。この「大阪モデル」を全国に広げると訴えた。また松井氏は選挙戦で、安全保障政策などが異なる立憲民主党と共産党の共闘を「野合」と批判。一方、改革で財源を生み出し、成長と分配につなげる姿勢を打ち出すことで、分配を重視する岸田政権との差別化を図った。

安倍晋三、菅義偉(すがよしひで)両政権と蜜月関係を築いてきた松井氏は会見で、岸田政権との向き合い方を問われ「これまでも是々非々の対応をしてきた。同じことだ。だめなものは、だめ。はっきりそういうスタンスで臨みたい」と語った。

知事として新型コロナウイルス対策を積極的に発信し、全国区の知名度を得た吉村氏の人気も維新にとって追い風となった。