南米などで広がった新型コロナウイルスの変異ウイルスの1つ「ミュー株」について、東京大学などのグループが、ワクチンを接種した人の血液を使って実験したところ、「ミュー株」に対しては抗体の効果が大きく低下していることが分かりました。
この研究は東京大学医科学研究所の佐藤佳准教授らのグループがアメリカの医学雑誌、「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で発表しました。
グループでは、新型コロナウイルスの変異ウイルス「ミュー株」の特徴を人工的に再現し、ファイザー製のワクチンを接種した人の血液に含まれる抗体とどれだけ反応するかを実験しました。
その結果、「ミュー株」に対してはウイルスの働きを抑えるのに必要な抗体の量は従来のウイルスに比べ9.1倍、多くなっていて、抗体の働きが低下していることが分かったということです。
グループによりますと今のワクチンは抗体以外にもさまざまな免疫の反応が期待できるため、今回の実験だけではワクチンの効果への影響は分からないということで、今後さらに研究が必要だということです。
佐藤准教授は「新型コロナウイルスの変異は今後も続くと考えられる。今回の研究のようにウイルスの特徴を明らかにして、国際的に情報共有する仕組みを確立することが大切だ」と話しています。