米連邦公開市場委員会(FOMC)が3日に発表した声明は以下の通り。
米連邦準備制度は現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進することにコミットしている。
ワクチン接種の進展と強力な政策支援を得て、経済活動や雇用の指標は引き続き強さを増した。パンデミックによる悪影響を最も受けたセクターはここ数カ月改善してきたが、今夏の新型コロナウイルス感染症(COVID19)件数増加を受け、その回復ペースは鈍っている。インフレは高水準にあり、これは主として一過性と予想される要因を反映している。パンデミックと経済再開に関連した需給の不均衡は、一部セクターにおけるかなり大きな価格上昇につながった。全般的な金融環境は緩和的なままだ。これには経済および米国の家計・企業への信用の流れを支えるための政策措置も反映されている。
経済の道筋はウイルスを巡る状況に引き続き左右されている。ワクチン接種の進展と供給制約の緩和は、経済活動と雇用の継続的な拡大およびインフレ低下を支える要因になると見込まれる。経済見通しへのリスクは残っている。
委員会はより長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。インフレがこのより長期の目標を下回る状況が長く続いてきていることを踏まえ、委員会はインフレが一定期間2%を適度に上回ることを目標とし、それによって期間平均が2%となり、より長期のインフレ期待は2%でしっかりととどまるようにする。委員会はこうした結果が得られるまで、緩和的な金融政策スタンスを維持する見通しだ。委員会はフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジをゼロ-0.25%に据え置くことを決めた。委員会が判断する最大限の雇用水準と労働市場の環境が整合的になるまで、またインフレが2%に上昇し、一定期間2%を適度に超える軌道に乗るまで、この目標レンジを維持することが適切になると予想する。経済が委員会の目標に向かって昨年12月以降に遂げた一段と顕著な進展を踏まえ、委員会は月間の資産純買い入れペースを縮小し始めることを決定した。財務省証券を月100億ドル、政府支援機関(GSE)保証付きの不動産担保証券(MBS)を月50億ドルずつ減らす。今月から委員会は財務省証券の保有を少なくとも月に700億ドル、GSE保証付きMBSの保有を少なくとも月350億ドルそれぞれ増やす。12月からは財務省証券の保有を少なくとも月に600億ドル、GSE保証付きMBSの保有を少なくとも月300億ドルそれぞれ増やす。委員会は資産の純買い入れ額を毎月同様のペースで減らすことが適切である公算が大きいと判断するが、経済見通しの変化によりそれが正当化される場合は購入ペースを調整する用意がある。現行の連邦準備制度による証券購入・保有は、円滑な市場機能と緩和的な金融環境の増進に引き続き寄与し、それによって家計や企業への信用の流れを支える。
金融政策の適切なスタンスを見極める上で、委員会は今後の情報が経済見通しに与える意義を引き続き監視する。委員会の目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、委員会は必要に応じて金融政策スタンスを調整する用意がある。委員会は公衆衛生や労働市場の状況、インフレ圧力やインフレ期待を示す各指標のほか、金融・国際情勢などを幅広く考慮して判断する。
今回の金融政策措置に対し、パウエル議長とウィリアムズ副議長、バーキン総裁、ボスティック総裁、ボウマン理事、ブレイナード理事、クラリダ連邦準備制度理事会(FRB)副議長、デーリー総裁、エバンス総裁、クオールズFRB副議長、ウォラー理事が賛成した。
前回9月22日の声明はこちらです。
原題:U.S. Federal Open Market Committee Nov. 3 Statement(抜粋)