• 佳兆業集団が1兆4500億円相当のプロジェクト売却計画-SCMP
  • 前日に急落したドル建て社債に買い戻しの動きも
UKRAINE – 2021/10/19: In this photo illustration, Kaisa Group Holdings Ltd. logo seen displayed on a smartphone screen. (Photo Illustration by Pavlo Gonchar/SOPA Images/LightRocket via Getty Images) Photographer: SOPA Images/LightRocket

資金繰り難に陥っている中国の不動産開発大手、佳兆業集団は資本調達に向けて推定818億2000万元(約1兆4500億円)相当の不動産プロジェクトを売却する計画だと、香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が報じた。

  佳兆業集団と香港上場部門3社の株式売買は5日、内部情報の発表を控えて停止された。佳兆業は前日、流動性圧力と理財商品の支払い遅延を明らかにしていた。

  SCMPが文書を引用して報じたところによると、佳兆業は深圳で広さ計145万平方メートルの不動産プロジェクト18件を売りに出した。一方、中国メディアの財聯は、華潤置地など国有企業がこれらのプロジェクト取得に向けて交渉中だと伝えた。

  SCMPは事情に詳しい複数の関係者の話として、佳兆業が来月にも資産売却を始め、来年末までに完了する計画だと報道。同社に今回の報道についてコメントを求めたが、今のところ返答はない。

  佳兆業集団の株価と社債価格は4日に急落していた。

中国の佳兆業、保証した理財商品支払いできず-株価と社債が急落

  

  中国政府が不動産業界のレバレッジ削減の取り組みに乗り出したことで、開発企業の資金繰り難が深刻化。さらに住宅購入者の心理が損なわれ、住宅販売と価格の低迷が追い打ちを掛けている。社債価格の急落によって、返済期限が近づく債務の借り換えコストも極めて高くなっている。

  ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、アンドルー・チャン氏はリポートで、「佳兆業が保証していた理財商品の不払いは同セクターの危機に拍車を掛けるかもしれない」と分析。「投資家は迫りつつある公的な債務返済だけでなく、広く知られていない可能性がある理財商品などの債務についても留意しておく必要があることを示している」と指摘した。

  株式売買を停止したのは佳兆業集団のほか、不動産管理部門の佳兆業美好と医療関連の佳兆業健康、建設機械を提供する佳兆業資本投資の4社。

  佳兆業集団は4日の発表文で、資産売却の加速などで流動性問題の解決に向け「全力を挙げている」と説明。ロイター通信が先週報じたところによると、同社は美好など資産の買い手を探しているが、有力な候補は浮上していない。

  前日に急落した佳兆業集団のドル建て社債は5日、買い戻しの動きが優勢。ブルームバーグの集計データによれば、12月7日償還債(表面利率6.5%)は額面1ドルに対して49.7セントと4.4セント上昇。同社株は4日に15%下落し、上場来安値を更新していた。

原題:Kaisa Halts Trading Amid Report of Massive Project Sale Plans(抜粋)