けさ、このニュースをみて不思議な気がした。米国を代表する大手総合電機メーカーのGEが会社を3分割するというのだ。きのう日本を代表する総合電気メーカー・東芝の3分割案が報道されたばかり。日米を代表する大企業の会社分割である。少し長いがブルームバーグの記事を引用する。「パリ万国博覧会が開かれた1889年、米国ではトーマス・エジソンが乱立した電力関連会社を一つにまとめ、これが後のゼネラル・エレクトリック(GE)となりました。その翌年、日本では国産の電球を製造するために白熱舎が創設され、合併を繰り返して現在の東芝の前身になったと同社のウェブサイトに説明があります。19世紀末から技術の発展と併走して成長した巨大企業2社が、多角化路線を一気に後戻りすることが明らかになり、企業経済史の一幕が下りた格好となりました」、なんという奇妙な一致だろうか。時代は大きく変わろうとしているようだ。

GEは世界を股にかけて事業展開するコングロマリット(多国籍の複合企業)だ。対する東芝。国家の基幹ともいうべき発電所や鉄道、道路といったインフラから末端の消費者を対象とした家電まで、まさに国を代表する総合電機メーカーである。両社とも物言う株主から企業価値の増大に向けた具体的な戦略を求められている。その一環として東芝は現在コーポレート・ガバナンスの抜本的な改革を模索している。新しい戦略は12日に発表する中期経営計画に盛り込まれる。その有力な案が3社分割というわけだ。メディアによると「インフラ」「デバイス」「半導体エモリー」に事業内容を再編成し、分割した3社がそれぞれ株式を上場して独立の企業となる。いってみれば総合電機メーカー東芝の解体である。一方のGE、ロイターによると「航空分野」、「エネルギー分野」、「ヘルスケア分野」に3分割され、GE本体は航空分野を担うことになるという。

GEと東芝だけではない。世界を代表する大企業はこれまで国際化、グローバル化を追い求めてきた。大企業の経営者にとって「あらゆることに手を出し」、「大きいことはいいこと」だった。多少の不採算部門があっても成長事業を抱えていれば株主も満足した。だが、時代はとっくの昔に変わりはじめていた。GEも東芝も気が付かなかったわけではないだろう。経営者の意識が古き良き時代に固執しすぎたのだ。ステークホルダーは収益を求める点は一緒でも、成長部門と不採算部門の「見える化」を求めはじめていた。不正経理に手を染めた東芝の経営者は、そうした変化に気づかなかったのだろう。大株主をはじめステークホルダーの意向をいとも簡単に無視した。その結果が株主の反乱だった。東芝の分割案はまだ最終決定ではないが、個人的にはこの案に決まりそうな気がする。すくなくとも前社長が追求した非上場化案よりは、株主をはじめ多くのステークホルダーの理解は得られるだろう。