国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は13日、成果文書を採択して閉幕した。約200カ国・地域が、地球温暖化対策の国際合意「パリ協定」の最も意欲的な努力目標を引き続き追求することで一致した。国際的な取り組みは新たな段階に入るが、最も困難な決定は将来に持ち越された。
各国・地域代表は波乱含みの約2週間の協議を経て、石炭使用の削減と化石燃料への「非効率な」補助金の削減、現行の2030年の排出削減目標を22年末までに再検討・強化することで合意した。「グラスゴー気候協定」には、パリ協定が目指す「産業革命前からの気温上昇をセ氏1.5度に抑える」努力の追求が明記された。
当初の会期を1日延長した詰めの協議では、先進国の貢献拡大を主張する中国とインドが土壇場で当初案に反対。インドの要求を受け入れる形で、石炭使用の「段階的な廃止」が「段階的な削減」の表現に弱められ、内容が後退した。
一方、気候変動対策に不可欠ともいわれるカーボンクレジット取引の枠組みは、6年続いた行き詰まりが打開され、今回の会議で承認された。
ケリー米大統領特使(気候変動問題担当)は「これは10年のスプリント(全力疾走)の始まりだ。気候変動に伴うカオス(大混乱)の回避、よりきれいな空気とより安全な水、より健康な地球の確保にわれわれは以前より近づいている」と訴えた。
石炭に関するコミットメントへの初の言及は、重要な成果として挙げられるが、COP26の合意は、中国や米国、インドなど温室効果ガスの主要排出国が向こう数十年かけて約束を守るという前提に依存する。
環境活動家からは、開発途上国のクリーンエネルギー移行や気候変動対策を富裕国が財政面で支援する取り組みも十分でないと批判の声が上がり、カーボンクレジット市場のルールを巡る妥協についても、温室効果ガスの排出削減努力を妨げる恐れが指摘された。
現地時間13日夜に成果文書が採択されると歓声が上がった。これまでの交渉は緊迫し、深夜まで協議が終わらない日も少なくなかった。
だが最終的な文言には誰も満足しておらず、特にインドの要求で石炭使用の「段階的な削減」に表現が変更されたことに代表らから反発の声が出た。一見小さな調整のようだが、これでは気温上昇を1.5度に抑えるための困難が増すと欧州諸国は警告した。
COP26のシャーマ議長は閉会に際し、そうした不満を認めつつ「深い失望があることは分かっているが、この取り決めを守ることも極めて重要だ」と理解を求めた。
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原題:COP26 Seals Breakthrough Climate Deal After Major Compromises (2)、COP26 Seals Breakthrough Climate Deal After Major Compromises(抜粋)