[ニューヨーク 15日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルが主要通貨に対し16カ月ぶり高値を付けた。世界経済成長やインフレ高進を巡る懸念から、安全資産としてのドルへの投資妙味が高まった。金融政策期待も追い風となった。市場の関心は16日に発表される米小売売上高統計に集まっている。
主要通貨に対するドル指数は95.462に上昇し、2020年7月以来の高水準を付けた。終盤は0.274%高の95.394で推移した。
FXストリート・ドット・コムのシニアアナリスト、ジョセフ・トレビサニ氏は「米連邦準備理事会(FRB)の動向が大きく注目された90年代に逆戻りしている気分だ」と指摘した。
シティ・インデックスのシニア金融市場アナリスト、フィオナ・シンコッタ氏は、先週発表された11月の米ミシガン大学消費者信頼感・速報値が2011年11月以来の低水準となったことを受け、「市場は消費者心理の低迷が(16日発表の)小売売上高に反映されるか注目されている」と述べた。
ユーロ/ドルは16カ月ぶりの安値に沈んだ後、0.49%安の1.13865ドル。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は15日、インフレ抑制のために現時点で金融引き締めを行えば、ユーロ圏経済の回復が頓挫すると述べた。
ユーロは対スイスフランでも一時、18カ月ぶり安値を付けた。モネックス・ヨーロッパのシニア為替市場アナリスト、サイモン・ハービー氏は、ユーロ/スイスフランの動向について「スイスフランはインフレに対するヘッジ」と指摘した。
スイス国立銀行(中央銀行)のメクラー理事は11日、コロナ禍により市場の先行き不透明感が依然高いことを踏まえると、安全資産としての通貨スイスフランへの需要は今後も続くとの見方を示した。さらに、1.2%近辺で推移する国内インフレ率がフラン高を抑え、輸出依存が高い国内経済に与える影響を和らげていると説明した。
ポンドは対ドルで0.16%高の1.3429ドル。今週は雇用やインフレ関連指標の発表が予定されており、イングランド銀行(英中央銀行)が12月に利上げに踏み切るかどうかを見極める手掛かりを示す可能性がある。