[ワシントン 16日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)が16日に発表した10月の鉱工業生産統計は、製造業の生産指数が前月比1.2%と大きく上がり、上昇率は2019年3月以来、約2年半ぶりの大きさとなった。市場予想は0.7%上昇だった。9月は0.7%低下していた。

10月は、ハリケーン「アイダ」の影響が薄れて自動車生産台数が回復し、予想より大きな回復を見せた。だが、原材料や労働力の不足によって製造業は引き続き制約されている。

製造業の生産指数の前年同月比は4.5%上昇。米経済の12%を占める製造業は、減少した在庫の補充に力を入れる企業によって支えられている。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、消費がサービスからモノへシフトし、世界のサプライチェーン(供給網)を逼迫させた。半導体などの原材料のほか労働者も不足し、工場への原材料の供給や市場への完成品の出荷に支障が出ている。

デルタ変異株によるコロナ感染者数の減少に伴って消費がサービスに回帰しているものの、モノに対する需要は堅調に推移している。

自動車・同部品は前月より11.0%上昇し、3カ月ぶりに上がった。自動車を除く製造業は0.6%上昇した。

消費財は1.4%上昇。機械は1.3%低下した。「ジョンディア」ブランドの農業機械を製造する米ディアのストライキ継続が響いた。

全体の鉱工業生産は1.6%上昇し、うち鉱業が4.1%、電力・ガスが1.2%それぞれ上がった。9月の鉱工業生産は1.3%下がっていた。

企業が資源を十分に活用しているかどうかを示す製造業の設備稼働率は10月に76.7%となり、19年1月以来の高さとなった。9月から0.9%ポイント上がった。

鉱工業全体の稼働率は76.4%となり、9月の75.2%から上昇。ただ、1972年─2020年の平均値を3.2%ポイント下回った。

FRB当局者は、経済のスラック(需給の緩み)を見極める指標として稼働率に注目している。