[ロンドン 17日 ロイター] – 英国立統計局(ONS)が17日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年比4.2%上昇と、10年ぶりの高い伸びとなった。家計の光熱費が大幅に上昇した。イングランド銀行(英中央銀行)が12月に金利を引き上げるとの見方が強まりそうだ。
10月のCPIは9月の3.1%上昇から伸びが加速。ロイター調査では3.9%上昇と予想されていた。
ONSは「電力、ガス、その他燃料が主な上向き圧力になった」とした。ガス料金は前年比28.1%上昇した。
ポンドは対ドルで1週間ぶりの高値を付け、対ユーロでは21カ月ぶりの高値となった。
スナク財務相はインフレ率の上昇は英国だけの問題ではないとし、購買力への影響を緩和するための措置を取ると述べた。
英商工会議所の経済担当責任者、スレン・シル氏は「冬場の大幅なインフレ加速は引き続きあり得る。輸入原材料のコスト上昇やエネルギー価格の上昇により、インフレ率は来年5%前後に達する可能性が高い」と述べた。
KPMGのチーフエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は「きょうのインフレ統計はイングランド銀行の行動の決意を強める」との見方を示した。
英中銀は世界の主要中銀の中で最初に、新型コロナウイルス感染拡大以降初となる利上げに踏み切るとみられており、投資家やエコノミストは12月16日に利上げが決定されるとの見方を強めている。
しかしクローズ・ブラザーズ・アセット・マネジメントのロバート・アルスター最高投資責任者(CIO)は、来月の利上げは確定的ではないと指摘した。
「物価上昇が個人消費や信頼感に及ぼす影響が最終的に安定の重要な尺度となり、イングランド銀行がどれほどタカ派的になる必要があるかを決定付ける」と述べ「利上げが2022年になる可能性もある」との見方を示した。
CPIと同時に発表された10月の生産者物価指数(PPI)は産出指数が前年比8%上昇し、2011年以来の高い伸びを記録。投入指数も前年比13%上昇と、08年以来の大幅な伸びとなり、今後インフレ圧力がさらに強まる可能性をうかがわせた。