米ワシントンで現地時間17日に行われた日米韓3カ国の次官協議をめぐり、終了後に予定されていた共同記者会見が急きょ中止になった。日本政府は、韓国の金昌龍警察庁長官が島根県・竹島(韓国名・独島)に上陸したことに反発し、「共同会見実施は不適当」(外務省筋)と判断した。ミサイル開発を続ける北朝鮮に3カ国の結束を示すはずが、日韓の溝の深さが改めて浮き彫りとなった。

北朝鮮非核化へ連携 日米次官協議

 「日韓間に今回の協議とは無関係の相違点があったため、会見形式を変更した」。米国務省の会見場に現れたシャーマン国務副長官は冒頭、共同記者会見が見送られた理由をこう説明し、そのまま1人で会見を続行した。
 当初、日本側は共同会見に出る方針だったが、竹島問題を踏まえ会見拒否を決めた。日本政府関係者は「あたかも何もなかったように3人で並ぶわけにはいかない」と指摘した。

 3カ国協議の後、森健良外務事務次官と韓国の崔鍾建外務第1次官は個別に会談。森氏は金氏の竹島上陸について、「わが国の一貫した立場に鑑み受け入れられない」と抗議したが、崔氏は「独島に対する日本のいかなる主張も受け入れられない」と反論。元徴用工や慰安婦問題も取り上げられたが平行線をたどった。

 金氏の竹島上陸が次官協議直前だっただけに、日本外務省幹部は「韓国の政治的意図を疑う」と批判。別の幹部も「タイミングが最悪だ。韓国政府内で意思疎通ができていないのではないか」と不快感を示した。

 日米韓の外務次官協議は7月に東京で実施して以来。今回の協議では、北朝鮮への対応のみならず、東・南シナ海での中国の動向についても意見交換した。日米両国は韓国とともに、対中国で連携を強化したい考えだが、日韓関係改善の先行きは見えないままだ。「日韓関係はこれ以上悪くなりようがない状況だ」。日本政府関係者はこう言ってため息をついた。