[ワシントン/ニューヨーク 22日 ロイター] – バイデン米大統領は22日、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長(68)を続投させる方針を決めた。新型コロナウイルス危機に迅速に対応した手腕を評価した。インフレが高止まりする中、金融政策の継続を重視した決定となる。
上院で承認されれば、任期は1期目の任期が切れる来年2月から4年となる。
ホワイトハウスによると、バイデン大統領は次期FRB議長の有力候補だったブレイナード理事(59)を副議長に指名した。
バイデン大統領は記者団にコメントを送付し「まだまだやるべきことはあるが、この10カ月間で米国民が仕事に戻り、経済が再び動き出したことで、われわれは目覚ましい進歩を遂げた。この成功は、私が追求してきた経済政策と、FRBが取った断固とした行動の証しだ」と述べた。
さらに「今年の経済面での成功の拡大継続を望むのであれば、FRBの安定と独立性維持が必要」とし、「パウエル、ブレイナード両氏が米国に必要な強力なリーダーシップを発揮すると全幅の信頼を置いている」と言明した。
パウエル氏が再任されるとのニュースを受け、米株価、米債券利回り、ドルは総じて上昇した。
パウエル氏は民間部門出身の弁護士で、2012年にオバマ元大統領にFRB理事に起用された。18年にはトランプ前大統領の指名を受け、議長に就任した。20年初めのパンデミック(世界的大流行)初期、迅速かつ積極的な金融政策を実施し、深刻な不況を回避したと評価された。
ホワイトハウスとしては、最近のインフレ高進によって不確実性が高まる中、パウエル氏再任によって、FRBのトップ交代による政治的リスクを避ける狙いもあったとみられる。
ブレイナード氏は経済学博士号を取得したエコノミストで、クリントン、オバマ元政権下の金融政策立案で主要な役割を担った後、過去7年間はFRB理事として、金融政策に加え、金融規制や気候変動など幅広い分野で手腕を発揮した。
また、10月以降空席となっている金融規制担当の副議長ポストと他のFRB理事人事について、バイデン大統領は12月初旬に発表する計画としている。
金融規制担当の副議長はこれまでクォールズFRB理事が兼任していたが、10月に任期満了となった。クオールズ氏は12月末に退任する。
FRB副議長の指名を受ける前、ブレイナード氏が金融監督を巡り、クォールズ氏の後任になるとみられていた。アナリストによると、現時点ではラスキン元FRB理事やアトランタ地区連銀のボスティック総裁、銀行監督当局である通貨監督庁(OCC)のスー長官代行、リャン財務次官らが候補に挙がっているという。
こうした中、民主党のウォーレン上院議員は、パウエル氏の2期目続投に反対票を投じると改めて表明した。
ブレイナード氏の副議長への指名については支持を表明し、金融規制担当の副議長ポスト人事は「極めて重要」という見方を示した。
ウォーレン議員はこれまでに、パウエル氏がFRBを率いるには「危険な人物」で、金融システムを効果的に規制できなかっただけでなく、FRB当局者の倫理的な失態に対応することもできなかったと批判している。
しかし、パウエル氏は上院で超党派の支持を得ていることから、ウォーレン議長の反対票が承認獲得に影響する公算は小さいとみられる。