[上海 22日 ロイター] – 中国の張高麗元副首相に性的関係を強要されたと告発した同国女子テニス界のスター、彭帥選手が国際オリンピック委員会(IOC)とビデオ通話を行ったことについて、女子テニスのツアーを統括するWTAは22日、彭選手の安否を巡るWTAの懸念を解消するものではないという見解を示した。
IOCによると、彭選手は21日にバッハ会長とビデオ通話を行い、無事で健康に北京の自宅で暮らしていると説明があった。また、今はプライバシーを尊重してほしいとの意向を示したという。
これに先立ち、20日に友人との夕食会、21日に北京で開催された子ども向けテニス大会に姿を見せたとする写真や動画を中国国営メディア記者や大会主催者が公開したが、懸念を払拭するには至っていなかった。
WTAの広報担当者は「動画で彭帥選手を確認できたのは良かったが、彼女の健康に問題がないかや、検閲や強制を受けずにコミュニケーションできるかという点についてWTAの懸念を軽減したり、解消したりするものではない」と述べた。
IOCとのビデオ通話については「この動画で、彼女の性的暴行疑惑について検閲なしに完全かつ公正で透明な調査を行うという、われわれの要求が変わることはない。それがそもそもの懸念だ」と強調した。
この問題を巡っては、世界の人権団体などが中国の人権問題を理由に来年2月の北京冬季五輪のボイコットを呼び掛けている。WTAも中国からの事業撤退を警告している。
張元副首相と中国政府は、この疑惑についてコメントしていない。
中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報の胡錫進編集長は22日、ツイッターに投稿し、「彭帥選手の安全を本当に心配している人たち」にとって、動画や写真は心配を和らげるのに十分と主張した。
「しかし、中国の体制を攻撃し、北京冬季五輪をボイコットしようとする向きは、どれだけ多くの事実があっても納得しない」と付け加えた。
中国外務省の趙立堅報道官は定例会見で、西側諸国の彭選手に対する懸念について、外務省の問題ではないとした上で、同選手は最近公的な場に現れていると述べた。