欧州での新型コロナウイルス再流行が、世界の金融市場に影響を及ぼしつつあります。ロックダウン(都市封鎖)が各国に広がる可能性があり、投資家は警戒モード。しかし、ウォール街の一線のストラテジストは冷静です。モルガン・スタンレーとJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループは欧州株について、このところの域内の感染再拡大は一時的なもので、相場上昇は来年にかけて続くとの見方を示しました。主要株価指数のストックス欧州600は24日、5日ぶりに反発。前日の約2カ月ぶり大幅安を取り戻すには全く足らない小幅高でしたが、ここが我慢のしどころなのか。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

利上げ開始時期にも柔軟性

米連邦公開市場委員会(FOMC)は11月2-3日に開いた会合で、債券購入プログラムの縮小ペースと利上げ開始時期に関して柔軟性を持たせる必要性を強調した。24日公表された議事要旨では、「リスク管理の観点に基づき適切な政策調整を行うという柔軟性を維持することは、政策を実施する上での基本理念であるべきだと、参加者は強調した」と記された。

1969年以来の低水準

米国の新規失業保険申請件数は先週、大幅に減少し、1969年以来の低水準となった。申請件数は前週比7万1000件減の19万9000件。ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は26万件だった。仮にこの水準近辺での推移が続けば、むらのあった労働市場の回復が新たな段階に入ることになる。ただ、ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏は「季節要因によるゆがみだ」と指摘しており、今後のデータの見極めが必要となる。

90年代以来の大幅な伸び

米国の個人消費支出(PCE)は10月に前月比1.3%増加と、3月以来で最も大幅な伸びを示した。市場予想は1%増だった。注目度の高いPCE総合価格指数は前年同月比5%上昇と、1990年以来の大きさだった。食品とエネルギーを除くコア価格指数も同4.1%上昇と、1991年以来の伸び。サプライチェーン問題が長期化し、人手不足の解消も困難なことから、インフレはこの先さらに上昇すると予想されている。

「投資の10年間に」

ドイツの次期首相に社会民主党(SPD)のショルツ財務相が就任する。新型コロナが再び猛威を振るう中でのかじ取りを任されるショルツ氏は、気候変動対策においてドイツが世界をリードすると表明した。新たに連立を組む緑の党と自由民主党(FDP)の党首らと会見し、「この先は投資の10年間とする決意だ」と述べた。約2カ月に及ぶ集中的な協議を経て、中道左派のSPDは環境政党・緑の党と企業寄りの政策を掲げるFDPとの3党連立合意をまとめた。

「後悔している」

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、同行が中国共産党よりも長く存続するだろうと語った前日の冗談について後悔の意を表した。同行が発表した声明の中で、ダイモン氏は「あのような発言はするべきではなく、後悔している」と述べ、「当行の力強さと長期的な存続を強調しようとした」と釈明した。JPモルガンの広報担当者は、中国との建設的かつ細部に至る経済対話をダイモン氏は強く支持しており、同行は中国にコミットしていると発言。他国に関して失礼な発言をすべきでないことをダイモン氏は認識しているとも述べた。

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