[東京 25日 ロイター] – 新生銀行の工藤英之社長は25日のオンライン会見で、SBIホールディングスから受けた株式公開買い付け(TOB)に対抗する買収防衛策を取り下げたことに関連して、「SBIの提案に勝る話はなかった」と明らかにした。公的資金の返済については道筋が見えていると語った。

新生銀行は24日、SBIへの買収防衛策を撤回し、25日に予定していた臨時株主総会を中止することを決議したと発表。SBIによるTOBへの意見を反対から中立に変更した。

工藤社長は、新生銀が国に提示した経営方針をSBIが尊重すると表明したため、買収防衛策を取り下げたと改めて説明。その上で、「尊重という言葉には重い意味がある」と述べ、「言ったことに対する責任感は信頼している」とした。

臨時株主総会までの間も最適なパートナーを探す取り組みを継続すると公言していたが、工藤社長は、いろいろな話があった中で、SBIの提案に勝るものはなかったと語った。

25日に開催予定だった臨時株主総会を巡っては、2割の株式を保有する国が買収防衛策に賛同しない意向と伝えられ、否決される見通しが強まっていた。

ただ、工藤社長は、国の議決権行使の動向と買収防衛策の取り下げは関係がないと強調し、「株主数ベースでは、賛成する株主が圧倒的に多かった」とも述べた。

約3500億円の公的資金に関しては、「開示した経営戦略に基づいて利益を出していけば、その先に(返済)できるところは視野に入っている」と語った。SBIとのシナジーはそのプラスアルファの話だとし、「今後SBIとの関係の中で良いものを協議して追求していけばいい」との考えを示した。

新生銀は、SBIが提案する独立社外取締役選定委員会を設置し同候補者を選定するほか、SBIが取締役候補者としている川島克哉氏、五味廣文氏、畑尾勝巳氏の3人を取締役として選任するための臨時株主総会を2022年2月初旬をめどに開催する。新たな取締役が選任され次第、現取締役は退任する意向という。

工藤社長は自身の進退について、「合理的に考えれば、そこで引き継ぎができるのではないかと期待している」と述べた。