欧州で新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染事例が相次ぎ報告されている。オランダではアフリカ南部からの渡航者で13人の感染を確認した。「オミクロン株」の感染例としては、これまでのところ欧州で最多とみられる。

  英国、イタリア、デンマーク、ドイツ、オーストリア、ベルギー、チェコでも同変異株の感染事例や、感染が疑われる件が報告された。

  医薬品メーカー米モデルナのポール・バートン最高医療責任者(CMO)は28日、オミクロン株が現在のワクチンに耐性を持つ可能性があるとした上で、その場合は改良したワクチンが来年早々に入手可能になるかもしれないと述べた。同社は現行ワクチンの同変異株への効果を調べているほか、ブースター(追加免疫)接種用の候補2つの試験を行っている。

  バイデン米大統領の首席医療顧問で米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は、米国が「感染第5波」に入る可能性を認識していると、CBSとのインタビューで述べた。

ファウチ氏、「オミクロン株」が既に米国に流入していても驚かず

  ニューヨーク州のホークル知事は過去1週間に州内の入院件数が20%増加したことを踏まえ、介護施設などに対しブースター接種を居住者全員に利用可能にするよう命じた。

  ジョンソン英首相は27日の記者会見で、オミクロン株感染者の全ての濃厚接触者に対し、ワクチン接種状況にかかわらず、10日間の自主隔離を義務付けると発表。店舗や特定の屋内施設、公共交通機関でのマスク着用を命じた。

英政府、「オミクロン株」感染2件を確認-マスク着用ルール強化

  イスラエルは27日、コロナ対策の閣議でオミクロン株の流行防止策として、外国人の入国を14日間禁止する事などを盛り込んだ措置を承認。海外から入国するワクチン接種済みのイスラエル人の隔離義務も拡大した。

  ドイツのDPA通信によると、ミュンヘンのマックス・フォン・ペッテンコーファー研究所は南アフリカから到着した旅行者2人のオミクロン株感染が確認されたことを明らかにした。中部ヘッセン州の当局も、南アフリカからフランクフルトに到着した1人がオミクロン株感染の疑いがあると発表した。

  AP通信によると、イタリアのミラノの病院でオミクロン株感染が確認された。伊保健当局は先に、モザンビークから帰国した旅行者について感染の可能性があるとしていた。

  チェコの公共テレビは27日、同国初のオミクロン株感染の可能性を報道。ナミビアから南アフリカとドバイを経由して帰国したワクチン接種済みの1人に軽い症状が見られるという。

  欧州諸国はオミクロン感染と疑われる症例が急速な表面化したことに対応して渡航制限を強化。スイスは27日、英国からの渡航者に対し、ワクチン接種証明か検査の陰性証明の提示の義務付けを開始した。スペインは12月1日から、英国からのワクチン接種済み旅行者に限り入国を認める措置を始める。

  米ジョンズ・ホプキンズ大学とブルームバーグの集計データによると、世界の新型コロナ感染者数は2億6120万人、死者は519万人をそれぞれ上回った。ブルームバーグのワクチントラッカーによれば、世界のワクチン接種は計79億回を超えた。

原題:Dutch Find 13 Omicron Cases; Strain Sweeps Europe: Virus Update(抜粋)、
Europe Tightens Restrictions, Israel Bars Tourists: Virus Update (抜粋)