NHKが30日午前3時半の時点でまとめたところ、新しい変異ウイルス「オミクロン株」の感染は、世界の16の国と地域で確認されています。

▽アフリカでは、南アフリカ、ボツワナ。
▽ヨーロッパでは、イギリス、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、デンマーク、チェコ、オーストリア、スウェーデン、スペイン。
▽中東では、イスラエル。
▽アジアでは、香港。
▽オセアニアでは、オーストラリア。
▽北米ではカナダで、
それぞれ感染が確認されています。

イギリス 追加のワクチン接種は18歳以上すべてを対象

イギリス政府は、国内で「オミクロン株」の感染が確認されたことを受け、29日、これまで40歳以上としていた追加のワクチン接種について、18歳以上すべてを対象とする方針を明らかにしました。

また、これまで追加の接種は2回目の接種から、6か月は間隔をあけるとしていましたが、間隔を3か月に短縮するとしています。

イギリスでは、一日の新規感染者が4万人を超える日が続いていますが、人口の大半を占めるイングランドでは、ほとんどの規制は撤廃されてきました。

政府はこれまで、ワクチンの効果で重症化は抑えられているとして、マスクの着用義務など追加の対策には消極的でしたが、新たな変異株を前に戦略の見直しを迫られかねず、水際対策の強化などを次々に打ち出しています。

ニューヨーク市長 屋内でマスクの着用呼びかけ

新たな変異ウイルス「オミクロン株」の感染の広がりを受けて、アメリカ ニューヨーク市のデブラシオ市長らは、29日、記者会見を開き、市民に対して飲食店や小売店などを含む屋内でマスクを着用するよう改めて強く呼びかけました。

それによりますと、マスクの着用が呼びかけられたのは食料品店、ビルの中のオフィスやロビー、小売店など屋内の公共の場所です。

また、ワクチンを接種した人にも着用を呼びかけています。

ニューヨーク市はことし8月に、変異ウイルスのデルタ株の感染拡大を受けて、屋内でのマスク着用を推奨していますが「オミクロン株」の感染の広がりを受けて、改めて呼びかけた形です。

一方、デブラシオ市長は記者会見で「対策強化のためにマスクの着用の義務化をしないのか」と問われましたが「それが正しい方法か決めるには、もっと多くのデータが必要だ」と述べ、変異ウイルスに関するより詳しい情報を見定めて、対応を検討していきたいという考えを示しました。

スイス 冬のユニバーシアードが中止に

新たに確認された変異ウイルス「オミクロン株」の影響で、12月にスイスで開かれる予定だった、学生のオリンピックとも言われる冬のユニバーシアードが中止になりました。

ことしの冬のユニバーシアードは、12月11日から21日までスイス中部のルツェルンで開かれる予定でしたが、国際大学スポーツ連盟は29日、開催を中止すると発表しました。

中止の理由について新たな変異ウイルス「オミクロン株」の感染拡大を防ぐためのスイスの当局による入国規制などを挙げています。

大会は当初、ことし1月に行われる予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で来月に延期され、日本からも6つの競技に70人余りの選手が参加する予定でした。

主催者は「すばらしい大会を開くことができないのは非常に残念だ」としています。

国連事務総長「アフリカ南部の国々の孤立を深く懸念」

「オミクロン株」をめぐって、複数の国がアフリカ南部からの入国を制限する措置を始めたことについて、国連のグテーレス事務総長は29日、声明で「アフリカ南部の国々の孤立を深く懸念する」と表明しました。

グテーレス事務総長は、ワクチンの接種率が低い地域が変異ウイルスの温床となるおそれは、これまで長い間にわたって指摘されてきたとして「ワクチンの供給が足りないアフリカの人たちを責めることはできない」としています。

そのうえで、これらの国との渡航を可能にするため、渡航者に繰り返し検査を行うなど、適切で効果的な措置を検討するよう、各国に呼びかけました。