[東京 10日 ロイター] – 日銀は16―17日の金融政策決定会合で、新型コロナ対応特別プログラムの縮小を検討する見通しだ。昨年の制度創設以来、企業の資金繰りは大幅に改善しており、13日発表の日銀短観を確認した上で最終的に判断する。新型コロナの新たな変異株「オミクロン株」の不透明感が残るため、来年1月の決定会合で決める可能性もある。複数の関係筋が明らかにした。

同プログラムは、感染急拡大を受けて民間部門の資金繰りを支援するために打ち出され、主に中小企業向けの新型コロナオペと大企業向けのCP・社債買い入れで構成する。

企業を取り巻く金融環境について、雨宮正佳副総裁は8日の講演で「対面型サービス業など一部の中小企業になお厳しさが残っているが、全体としては改善している」と述べた。こうした見方は日銀内で広く共有されている。

特別プログラムのうち、CP・社債について、雨宮副総裁は「発行環境はきわめて良好だ」と指摘。大企業では予備的に調達した資金を返済する動きが目立っており、金融面でサポートする必要性は乏しいとの見方が日銀では出ている。

コロナ対応で、CP・社債の買い入れ上限はコロナ前の合計約5.4兆円から20兆円まで拡大したが、買い入れペースは今年3月の政策点検を境に鈍化し、11月末時点の残高は合計約11兆円。市場機能にも配慮し、日銀は拡充措置を縮小する方針を決める可能性が高い。

コロナオペについては、対象を金融機関のプロパー融資に絞るなど現行から縮小した上で延長する可能性がある。民間金融機関での実質無利子・無担保融資の申請受付は今年3月末で終了し、政府の経済対策に盛り込まれた政府系金融機関による資金繰り支援策の延長措置も来年3月が期限。金融機関がプロパー融資で企業の資金繰りを支えていく上で、コロナオペによるサポートが引き続き必要との見方が出ている。

もっとも、オミクロン株の影響などコロナの不確実性は残る。日銀はコロナ特別プログラムを縮小しても、緊急措置の縮小にすぎず、金融緩和の後退ではないと強調するとみられる。情勢の変化に応じ、機動的に政策対応する方針を併せて打ち出すとみられる。

日銀は13日発表の日銀短観を踏まえ、オミクロン株の感染拡大リスクやそれが企業金融に与える影響を決定会合ぎりぎりまで見極める方針だ。情報の蓄積を待って、来年1月の決定会合で結論を出す可能性もある。

次回会合では、金融政策については現状維持となる見通し。