アメリカが日本やヨーロッパの首脳などを招いて開いた「民主主義サミット」が閉幕し、バイデン大統領は「民主主義の価値観は国際システムの中心にあると確信している」と述べて成果を強調しました。

9日から2日間、オンライン形式で開かれた民主主義サミットには日本の岸田総理大臣などおよそ110の国や地域の首脳などが招かれました。

アメリカは、「専制主義国家」と位置づける中国を招待しなかった一方、台湾を招き、出席したIT担当の閣僚の唐鳳氏は10日、中国を念頭に「台湾は世界で権威主義に対抗する最前線に揺るぎなく立ち続けてきた」と強調しました。

閉幕にあたってバイデン大統領は演説で「民主主義の価値観は国際システムの中心にあると確信している。われわれは、21世紀の発展の基準となるルール作りに向けて連携して取り組む」と述べて成果を強調しました。

またサミットにあわせて、アメリカはオーストラリア、デンマーク、ノルウェーとともに共同声明を発表し、反体制派の監視など人権侵害につながりかねない技術の拡散を防ぐため、輸出管理のあり方をめぐる行動規範の作成に向けて協力することを確認したとしています。

バイデン政権は1年後をめどに対面式で民主主義サミットを開催したいとしていますが、中国との結びつきを重視する国々も多い中、民主主義と人権を旗印に同盟国や友好国とどこまで足並みをそろえられるかは不透明です。

台湾 オードリー・タン政務委員 中国との対比で優位性アピール

サミットに出席した台湾の唐鳳、英語名オードリー・タン政務委員は「コロナ禍において、権威主義の政権が公衆衛生や集団の利益を名目に人権侵害を正当化し、世界的に民主主義が後退する兆しが見られるが、台湾は感染やうその情報の広がりをロックダウンや削除という措置をとらないで抑え込んだ」と述べました。

その例として、マスクの流通やスマートフォンのショートメッセージを使った接触者追跡のシステムを挙げ「市民が率先して開発した技術を公的部門と民間企業が手を携えて拡充したもので、こうした3者の協力関係がわれわれの誇りであり、皆さんと共有したい」と述べました。

さらに「市民を信頼しなければ、市民からの信頼は得られない」と指摘しました。

唐政務委員の発言は「デジタル監視社会」とも指摘される中国との対比で、デジタル技術を活用した民主主義を推進する台湾の優位性をアピールしたものです。

インド モディ首相「参加することを誇りに」

「民主主義サミット」に参加したインドのモディ首相は「私は世界最大の民主主義国を代表してこのサミットに参加することを誇りに思う。複数の政党による選挙、独立した司法制度、それに報道の自由といった構造的な特徴は、民主主義の重要な手段だ。このサミットは民主主義国の間の協力を進めるための時宜を得た場を提供するものだ」と述べました。