- ヘッジファンドと調査会社の関係や不適切な協調取引の疑いなど捜査
- マディ・ウォーターズやシトロン・リサーチなども対象に
米司法省はヘッジファンドや調査会社による空売りについて、広範な刑事捜査を開始した。両者の共生的な関係を調べるほか、不適切な協調取引で利益を得た疑いや違法行為の有無を探る。事情に詳しい関係者が明らかにした。
不正行為を取り締まる司法省の専門部門とロサンゼルスの連邦検察当局が捜査を行う。ヘッジファンドがどのようにして調査内容にアクセスし、投資を決定したのかを詳しく調べる。特に株価を動かすような調査リポートがあった場合、その発表前までの動きを重点的に捜査する。
当局はヘッジファンドと調査担当者との金銭面の関係について調べるほか、資産運用者が株価の著しい下落を仕組んだ疑いや、インサイダー取引といった他の不正に関与した可能性を調べる。情報が非公開だとして匿名を条件に応じた同関係者のうち、2人が語った。
調査対象にはラッキン・コーヒーやバンク・オブ・カリフォルニア、マリンクロットなど空売りの標的として知られた企業など数十社の株取引が含まれる。さらに10社以上について取引への関与を精査しているが、どの企業が捜査対象として浮上するかは明らかではない。関係者によれば、トロントのアンソン・ファンズや調査会社マーカス・アウレリウス・バリューなどが聴取の対象となっている。
カーソン・ブロック氏のマディ・ウォーターズ・キャピタルやアンドルー・レフト氏のシトロン・リサーチなど、調査対象となっている株式の分析リポートを出した著名な調査会社も含まれているという。
司法省とマディ・ウォーターズの広報担当者はいずれもコメントを避け、アンソン・ファンズとアウレリウスからは返答が得られていない。
シトロンの弁護士ジェームズ・スパータス氏は業界への調査は認識しているとした上で、当局の見立てに疑問を示した。同氏は「シトロン・キャピタルとレフト氏が成功しているのは、質の高い調査を行い、公表するまで他の空売り投資家の目に触れさせないようにしているからだ」と主張した。
原題:Hedge Funds Ensnared in Expansive DOJ Probe Into Short Selling(抜粋)