- 利上げは23年も3回、24年にさらに2回が適切だと示唆
- 新型コロナのオミクロン変異株も経済見通しへのリスク
米連邦公開市場委員会(FOMC)は資産購入プログラムを従来の想定より早期に終了させる方向へと政策をシフトさせ、2022年にエコノミスト予想より速いペースで利上げに動くことを示唆した。根強い高インフレへの対応を強化する。
FOMCは14、15両日に開催した定例会合で、毎月実施している資産購入について米国債と住宅ローン担保証券(MBS)合わせて月額300億ドル(約3兆4000億円)のペースで縮小させることを決定した。縮小ペースを従来の2倍に加速させる。このペースで縮小を進めると、資産購入プログラムは2022年早期に終了することになる。当初は同年半ばの終了を予定していた。
FOMC声明:需給不均衡が引き続き高インフレにつながっている
声明と同時に発表された四半期ごとの経済予測の中央値では、22年にフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25ポイントずつ3回引き上げることが適切と当局者らがみていることが示された。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、会合後の記者会見で「経済情勢と見通しの変化が、こうした金融政策の進化を正当化している」とし、「経済は最大限の雇用に向けて急速に進展している」と述べた。
FOMC:大半が予想していたものよりもタカ派的-市場関係者の見方https://imasdk.googleapis.com/js/core/bridge3.493.0_en.html#goog_1291761600Powell Says Fed to Double Taper Pace in Inflation PivotFOMCの政策決定について話すパウエルFRB議長出所:ブルームバーグ・テレビジョン
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)はなお景気回復にリスクをもたらしているものの、パウエル議長は資産購入ペースの加速により、必要に応じて物価上昇圧力に対抗するための利上げを開始する時期を従来の想定より早める態勢を整えられる。FOMC会合後に発表した声明では、オミクロン変異株について懸念を表明。「経済見通しへのリスクは、新型コロナウイルスの新たな変異株に伴うものを含めて残っている」と記した。
当局者らは最終的には「漸進的なペースでの政策引き締めを見込んでいる」とパウエル議長は説明。またテーパリング終了前の利上げ開始は当局として想定していないとしつつ、最大限の雇用達成より前の利上げはあり得ると述べた。
今回示された予測は、前回9月時点からの大きな変化を示している。9月時点では、22年の利上げ開始が適切か否かについて当局者の見解が二分されていた。今回の予測では23年にも3回、さらに24年に2回の利上げが適切になるとの当局者の認識が示された。この予測に基づくと、FF金利は24年末までに2.1%となる。
テーパリングのペース加速についてFOMCは、「インフレ動向および労働市場の一段の改善」を反映したと説明。その上で、「経済見通しの変化によりそれが正当化される場合は購入ペースを調整する用意がある」と改めて指摘した。
パウエル議長は「今年の経済活動はこのままいけば力強いペースでの拡大になりそうだ」と述べた。
グラント・ソーントンのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「FOMC参加者の間に広がったのは辛抱強さというより、ややパニック気味の心理だったようだ」とし、「米金融当局がインフレを追いかけるのを目にするのは数十年ぶりだ」と述べた。
高インフレについてFOMCは声明で、「パンデミックと経済再開に関連した需給の不均衡は、引き続き高水準のインフレにつながっている」と説明した。
今回のFOMCの決定は全会一致だった。
原題:Fed Doubles Taper, Signals Three 2022 Hikes in Inflation Pivot(抜粋)